笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

ダフネの変身

 具合先生と歯だった先生のクラスの学内演奏会を経て夏学期最終日の7月12日、ダフネ(フルート・ドイツ)卒業演奏会。お陰で旅行に出るのが遅くなった(笑)。 ヴィオレッタと同じく2年生の時から一緒に弾いているが当時は音は綺麗(最も大切)なものの無意識に段々速くなるししょっちゅう数え間違えるし音も読み間違えるし全部自分で気付かないし先が思いやられると思った。
 3年次に交換留学の審査に合格して1年間リヨンの音楽院で勉強することになった。リヨンと言えばかなりの名門。1年間とはいえ彼女ついていけるかな…。ハンブルク生まれのハンブルク育ちの彼女は「1人暮らしというものが全く初めてなの。変身目指して頑張るわ!」と旅立っていった。


 1年後、帰国後初合わせ。数ヶ月前に私もリヨンに行った経験から、「リヨンはフランスには珍しくビールが美味しいでしょう?」と言うと、「その通り!美味しくて私ビールばかり飲んでいたわ。」と。1人暮らしは楽しんだようである。果たしてその成果は…
 音はより綺麗になったし速度は安定したしリズムは正確になったし譜読みも丁寧になったし強弱の幅も広がったし表現力も増した。1年でここまで変わるとは…ダフネの努力もさることながらリヨンの先生の指導力には感服した。
 数ヶ月後のジャイアン祭りでそのリヨンの先生と共演。マーラーの歌曲のフルート用編曲では歌詞が聞こえて来るよう。ベームの華麗なる変奏曲では、「第3変奏つまらないから飛ばそうよ!」と私も弾きたくなかった変奏を省略してくれて感謝。ジャズ風現代曲では日本語で、「スゴイネー!」と言ってくれた。フレンドリーで周りが良く見えていて、なるほど、彼がダフネを変えたのか、と深〜く納得。


 大学院の入試では最も強く希望したリヨンは惜しくも次点(そりゃあの先生の所には希望者が殺到するよ)だったそうだが他の人気の音大に軒並み合格!贅沢な悩みを抱えながら演奏会に挑んだ。
 なんと超満員で廊下にまで臨時の席を設ける事態に…会場内も暑くて奥の扉も開け放しての演奏になった。お陰で自分達の音が聞きづらくて集中が難しく、数えるのが極めて難しい最後の腹踊りっぽい曲では練習では何度も完璧だったのに本番で2・3ヶ所数え間違い。おおやっぱりダフネだったかとちょっと嬉しくなった(笑)。
 ヴィオレッタにしろダフネにしろ2年前とは比べ物にならない成長ぶり。ってことはもしやジャイアソって良い先生…?