笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

岡山潔先生を偲ぶ

 10月1日、昨年亡くなったヴァイオリンの岡山先生のメモリアルコンサートを聴いた。
 先生には同じアパートに住んでいたケイコサンを始め何人かのお弟子さんのレッスンにくっついて行った。室内楽に造詣の深い方でピアノへの要求水準も高かった。
 食通としても知られレッスンや演奏会の後しばしば良いお店に連れて行ってもらった。飯田市の小料理屋さんの開業何十周年だったかのお祝いでの招待演奏に同行した(演奏前には温泉に入ったためリラックスし過ぎて先生はモンティのチャルダッシュの繰り返しをお忘れになり小声で、「あっそうか…。」と仰った。聞いたのは私だけだろうが)。
 更に駄洒落の名手としても知られた。ふとんがふっとんだレヴェルの物は数知れず。やや個性的な物として挙げられるのは、


岡山「ピアノの蓋は開けますか?」
私「開けたいんですが今日は未だコントロールする自信がなくて…。」
岡山「地震は今日は有りませんよ。」


岡山「ヤナーチェクはあまりレッスンに持って行かない方がいいんですよ。」
ケイコ「そうなんですか?」
岡山「やなチェックを受けるから。」


(子供向けの演奏会でコントラバシストがゴジラの雄叫びを模倣した際に)
岡山「でも今日のゴジラはちょっとガラガラ声ですね…風邪をゴジラしちゃったかな?」


 演奏会では懐かしの友人達といっぱい再会しました。プログラムには多くの追悼文が寄せられていました。ロビーには先生の音楽人生を彩る数々の写真が展示されていました(芳子夫人が、「惚れ直したっ!」と言われた麦藁帽子姿も見ることが出来て満足)。A先輩はメンデルスゾーンでのケイコサンの演奏を聴いて涙を見せました。


 先生さようなら。お世話になりました!