笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

猫娘の逆襲

 2ヶ月近く愉快な共演者に会っていないので愉快な過去を…度々登場する猫娘(フルート・台湾)はフライブルク修士課程を終え、サンタ先生の下で博士号を取得すべくハンブルクにやって参りました。南から北へのドイツ国内大移動です。
 サンタ先生のレッスンは不規則で週末に翌週のレッスン予定表が各生徒に送られる(共演ピアニストにとってはかなり迷惑)。猫娘の後にはAさん(日本)がレッスンを受けることが偶然多かった。
 元々サンタ先生は時間に不正確で、先ず10分くらい遅く学校に来てはレッスンが押すことも日常茶飯時だった。おまけにレッスン時間の連絡が遅いもんだから私が20分しか時間がない!ということもしばしば。
 しかし猫娘は悩める乙女であったため、レッスンが終わった後もサンタ先生に次から次へと質問を浴びせかけた。
「この準備の状態では次の入団試験は棄権すべきでしょうか?」
「この曲を公開試験で暗譜で吹くのは危険でしょうか?」
といったものから、
「◯◯地区に空き部屋が有るんですけど治安があまり良くないから辞めた方が良いでしょうか?」
「何処かバーテンダーの修行が出来る所をご存知ありませんか?」
等の音楽にあまり関係のないものまで。私が毎回プチッと切れて、
猫娘、私20分しか時間ないんだけど!?」
と言うと、
「ごめんなさ〜い〜ごめんなさ〜い〜。」
とやっと辞めてくれた…。


 問題の入団試験試験にはサンタ先生が、「行って来なさいッ!」と言われて遠くの街まで受けに行ったので、この週のレッスンには彼女は現れず、Aさんの前には別の学生がレッスンを受けていた。私は順番を待ちながらAさんと、
「今日は猫娘がいないから長くレッスンを受けられるね〜!「と話していた。


 レッスンが始まったと思ったらサンタ先生の携帯電話が鳴った。


「ハロー猫娘。」


入団試験の結果報告だったッ!やっぱり彼女に邪魔されたッ!


 その内遂にサンタ先生もレッスンの後には、
猫娘、もう本当に質問は無いのか?」
と彼女をからかうようになりました。