笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

外出自粛期間にしていたこと

 5月11日(演奏会が有ろうと無かろうと更新が遅い事が判明)、ひさ〜びさに演奏会!といってもライヴ配信の為非公開でしたが、伝統的ハンブルク音楽堂大ホールを独り占め(独奏ではありませんが)出来たのですから喜んで弾きました。
 ハンブルク交響楽団が外出自粛期間中に毎日配信した企画の一環で、一昨年妙なコンクールで共演した妙じゃないクラリネット奏者に誘われてプーランクソナタを共演しました。彼の演奏はとても音楽的で表現力が有ってとても楽しく弾けたのですが、ウチに帰って動画を観たら自分の頂点が薄〜くなっているのを見て少々ショックを受けました。


 3月半ばからの半引き篭り生活から少しずつ解放されつつあり、学校でも対人距離に留意しながらのレッスンが徐々に始まり始めました(変な日本語)。怠惰な私も決してこの2ヶ月を全く無駄に過ごした訳ではなく(殆ど無駄に過ごしたという事です)、譜面台が遠くて楽譜が良く見えない電子ピアノ用に段ボールで補助譜面台を作ったり、生まれて初めてゴム手袋をしてトイレ掃除をしたり、学生時代にやり残したバッハの平均律曲集を練習したり(まだ残ってます)して、2ヶ月前には30本近く有った学生達からの贈り物のワインが殆ど無くなってしまいました。


 普段よりも沢山映画を観ました。日本のテレビ放送をDVDにコピーしたものなので20年以上前の作品ばかりですが、今までのところハズレがひとッつも有りません!奇跡です!実家で父または母と2人で観る映画は何故かいつも大ハズレで、観た後2人揃って機嫌が悪くなるのに。

 

 短〜く感想を…

 

・モロッコ(1930・米)

トーキー映画としては世界最初期の物。伝説のマレーネ・ディートリッヒが美しい!後年の西部劇姿しか知らなかったゲーリー・クーパーは別人のよう。ラストが胸に沁みた。
・モンパルナスの灯(1958・仏)

画家モディリアーニの愛と生涯。誇り高い魂が垣間見られた。主演のジェラール・フィリップは奇しくもモディリアーニと同じ36歳で夭折した。
エスピオナージ(1973・仏・伊・西独)

タイトルは「スパイ活動」を意味する。4人の名優の拮抗した個性が見もの。
公園からの手紙(1988・キューバ)

2人の若い男女とそのラヴレターを代筆する男との風変わりな愛の行方。静かなラストが印象的。
・ビフォア・ザ・レイン(1994・マケドニア・仏・英)

アルバニアマケドニア間の不和を描いた複雑な作品。ちょっと悲し過ぎた…。
・理由なき反抗(1955・米)

極めて繊細な心を持つ3人の若者の物語。本作公開直前に主演のジェームス・ディーンが事故死。
・裸足のマリー(1993・ベルギー・仏・ポルトガル)

不良少女がふとした事から或る少年の母親を探す旅に出る。主演女優が我が校のピアノ科教授に良く似ていた!
・明日を夢みて(1995・伊)

ニュー・シネマ・パラダイス」のトルナトーレ監督の、同じくシチリア島を舞台とした映画にまつわる作品。これもちょっと悲し過ぎた…。
・怒りの日(1943・デンマーク)

第2次世界大戦中の作品で、魔女狩りを主題とする。終わってみると魔女を演じた2人の存在感が特に大きい。
・我等の仲間(1937・仏)

大金を当てた5人が古城を買い取ってレストランを開くまでに次々と事件が起きる。ギャング映画で有名なジャン・ギャバンが昔あんなにカッコ良かったとは。
・育ちゆく日々 1996・ポーランド)

主人公の学校生活と乗馬と政治とが絡み合う。監督と出演者が総出でお辞儀をするラストでは画面のこちらで思わず返礼した。
・赤い風車(1952・英)

こちらはモディリアーニ同様若くして亡くなった画家ロートレックの生涯を描く。主演のホセ・ファーラーの性格表現が素晴らしかった。これもちょっと悲し過ぎた…。

 

 …と言っていたら遂に昨日「ヌーヴェルヴァーグ」(1990・スイス・仏)で外したッ!哲学的な台詞・美しい情景と効果的な音楽がとりとめなく流れ続ける難解な作品だが、質問だけ投げて答えを聞きもしない、特定の相手にヒステリックに怒鳴り散らす、質問に答える時相手を全く見もしない登場人物達が嫌い!というわけで映画の内容に関係なく、個人的な趣味の問題でした。