笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

我が校のチャーリーブラウン

 我等が音楽大学には守衛のJ君がいます。イギリス出身の「ステキなハゲ」です。私がドイツに来たばかりの頃はまだにーちゃんという感じでしたが今や大分貫禄が付きました(お腹も大きくなりました)。
 最初はドイツ語が出来なくても練習したければ守衛所で自分で鍵をもらわなくてはいけません。恐る恐る「あっあのっピアノの練習をしたいなんですけれども…。」といった感じで訊ねるとJ君は終始にこやかに辛抱強く対応してくれました。昼間の守衛のおばさま達がフレンドリーからは程遠かったので以後練習はいつも夜にするようになりました。
 守衛といえば尊大な教授、横暴な同僚、生意気な学生でストレスの宝庫に違いありませんが、他の守衛と違ってJ君はそれを微塵も見せず常に飄々としています。同時期に入学したピアノのYさんは彼に「チャーリーブラウン」とあだ名を付けました。


 さて11月に入ったと思ったらJ君が3週間姿を見せません。どうかしたのかと思って、「いつ学校に来るの〜?」とメッセージを送ったらなんと!
「メッセージ有難う!緊急手術したのでまだ病院にいるんだ。もうちょっと養生します。」
との返事が。今までいつも元気な人だと思っていたので驚きました。
 翌々週には出勤していたので退院おめでと〜と言いに行くと…!なんと1度心臓が止まってマッサージで生き返ったそうです。知識が無くてどんな病気か良く分かりませんでしたが兎に角戻って来てくれて本ッッッ当に良かったッ!!!


 と思ったら年が明けたらまたJ君がいません。心配になって同僚のキックボクサーさんに訊いたらやはり病院に逆戻りしたそうです。6週間で3度も手術をしたらしく2人で凄く心配しますが、次の週もその次の週もJ君は現れません。
 前回戻って来た時に、「僕は健康だよ!」って言っていたのに…どうか大きな病気ではありませんように…。


 月末にとうとう守衛所に彼が座っているのを見つけた時にはどーっと安心しました。只今禁酒中だそうですが健康第一ですから私も誘いません。
 今後も我が校のチャーリーブラウンが元気で働いてくれますように!