笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

北京五輪、其の一。

 学生の頃にはピアノも弾かずに徹夜で観たオリンピック(昼間に寝ていた)。今回ほど観戦に燃えなかったことはない。

 最大の原因はフィギュアスケートがつまらないこと。全くのジャンプ競技会になってしまいました。何種類もの4回転ジャンプを跳ぶ選手達は確かに素晴らしいですが、技術点だけで30点も離されてしまってはどうしようもありません。28年前にジャンプ偏重の流れに一石を投じようとリレハンメル五輪に戻って来たヴィット選手はドイツのテレビ局のインタビュー中にワリエワ選手の心中を推測ってオイオイ泣き出してしまいました。才能豊かな少女が何故こんなプレッシャーを、と。
 以前は最も好きだったアイスダンスもみんな似たような演技しかしなくなってしまったので観る気がしません。セパレーションでの3連続ツイズルが始まるとイラッと来るようになりました。
 でも女子シングルの第3・4グループの殆どの選手が会心の演技に大喜びしていたのは衝撃的でしたね。


 小さなことが印象に残りました。バンクーバー・ソチと連覇し、平昌でもラストの滑走を残してダントツトップだったもののゴール直前に大失敗をして5位に後退したドイツのロッホ選手。ゴール地点でショボーンとする姿が痛々しかったのを覚えています。

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 今回は3回目を終わって第5位。メダルは厳しい位置にいました。最終滑走を終えて彼は微かに笑顔を見せ小さくガッツポーズを見せました。嘗て2連覇を果たした英雄が何故?と思ったファンもいるでしょうが、大きなミスで4年前の五輪を終えた借りを返した思いだったのではないでしょうか。

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 ロッホ選手のガッツポーズを見て1時代を築いた2人の日本選手を思い出しました。1人はノルディック複合荻原健司選手。このシーズン殆ど負けなしで迎えたリレハンメル五輪でしたが前半飛躍で何故か風に恵まれず、後半距離で2つ順位を上げ4位でゴールしました。金メダルを期待した聴衆はさぞがっかりしたことでしょうが荻原選手はゴールラインを越える時小さなガッツポーズを見せました。不利な条件の中で力を出し切れて悔いはないと後に語っていました。
 もう1人はモーグル上村愛子選手。長野で7位、ソルトレイクで6位、トリノで5位、そしてバンクーバーで4位と4年毎に何故か1つずつ順位が上がって行き、5度目の出場となったソチでファンは当然メダルを!と思ったでしょう。
 結果は前回と同じ4位。とうとう彼女がオリンピックのメダルを手にすることはありませんでした。ですがゴールした途端上村選手の目には嬉し涙が溢れて来たといいます。決勝進出も難しいと考えていたのに最高の舞台で遂に思い通りに滑り切ることが出来たと。


 何れの場合も今ならばメダルも獲れなかったくせに、などと誹謗中傷が本人に送信されるんでしょうね…。