笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

ブレーメンへ2度

 久々のオーディションです。

 ブレーメンへ出向いて先ずはコントラバスの、10日後にオーボエの伴奏をします。ブレーメンまでは1時間に1本は有る電車でハンブルクから1時間ちょっと。当日の朝に出発しても10時には余裕で間に合うはずですが、ドイツ鉄道が全く信用ならないのとブレーメン在住の友達と飲みたいのとで前の晩に入ってホテルに泊まります。ホテル代は勿論オーケストラからは支給されませんが楽しいから良いのです。
 オーディションで弾くオーケストラにはコントラバスの名物Yさんがいるし是非前日入りして飲みましょ〜!と思って予定を聞いたら空いてなかった(涙)…。いいもん、ベテランブレーマーのワカメちゃん(フルート・日本)とフレッシュブレーマーのお母さん攻撃(指揮・日本)と飲むから。
 …しかしあの感じだとYさんは明日私がオーディションで伴奏することを知らないのでは?とすると明日の朝口をあんぐり開けたまま階段を昇ってくるYさんの顔を拝見出来るかも!ウシシ…。
 翌日会場到着がギリギリになりそうと思いながら早足で歩いていると、
「ノブエさ〜ん、いつ頃着きそうですか〜?」
とYさんから電話。


 がっかり…。


 受験者は9名。1次審査はカーテン越しで、楽団員からは見えないようになっている。課題曲は1次が昔のドラえもんのテーマを思わせるディッタースドルフと、同じく古典派ヴァンハルの協奏曲で、2次はロマン派様式のボッテシーニとクーセヴィツキー。どれも難しくはないのだが普段弾かないものだから少々心配。クーセヴィツキーなんて最後に弾いたのは10年以上前に違いない…。クーセヴィツキーを弾かない人が2次に進んだら助かるなーなどといけないことを考えつつ、ボッテシーニも合わせるのが厄介だと思い出したのでありました。
 団員の審査は厳しく2次へ進んだのはたったの2人。これは1曲しか弾かなくていいかも…と思いきや2人器用に別々の曲を選びやがったッ!
 かなり慎重に弾いてどうやら受験生には迷惑をかけなかったらしい。ほっ。これでコントラバスのオーディションはいつでも承れます(単純)。


 10日後、オーボエのオーディションの前夜祭に今度はYさんも都合がついて4人でワインを沢山空けました。明日大丈夫だろうか…。
 翌日のオーディションの参加者は僅か4人。ピアノが必要なのは1次審査のモーツァルトだけだったのでものの30分くらいで終わった…。今日仕切っていたオーボエ奏者の方は数年前にバイロイトで会ったことを覚えていて下さった。誉め殺し先生がワインの国当てクイズで全問不正解だった時に違いない。
 久々にお会いした日本人のベテランオーボエ奏者Nさんは私の顔を忘れていたらしい…。マスクのせいだと弁解されていましたが。
 ところが弾き始めたらレの鍵盤が戻って来なくなった。間奏の『ソラシドレ・レ・レ・レ・レ』が、『ソラシド・・・・・・・・・』に。最初はみんな笑っていたが2人目で事務の方が恥ずかしがり始めた。3人目で諦めてその部分だけ1オクターヴ上で弾いたら魔笛のパパゲーノのアリアのようになってしまった…。


 残念ながらどちらのオーディションでも合格者が出なかったらしいので次回も是非呼んで下さいね〜。