笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

急行卒業演奏会

或る発表会でゲスト出演を頼まれてギャラは要らないぜフッ…とか思ってたらなんと参加料払わされたッ!慌ててドイツに逃げ帰って急行卒業演奏会を2つ弾きました。2人共交換留学期間を終えて新学期早々に試験をしないといけなかったのです。

マリアはウクライナ生まれのイスラエル人で昨秋から1年間サンタ先生のクラスで修行しました。兎に角マイペースな人で本当は夏学期に試験をする予定でしたが2ヶ月を切ってやっとホールを予約したところでサンタに、「ところでプログラムはどうするんだ?」と訊かれて、「さあ、どうしましょう?」と答えたり、湖畔の古城の合宿の修了演奏会の後湖畔に佇んでいたら居ても立っても居られなくなり服を脱ぎ捨てあまり水質の美しくない湖に飛び込んで泳いでしまったり(リアル水の精)とかなりの個性派です。
私がドイツに戻ってから1週間でもう試験。レッスンは1回しか受けられません。ベルギーの作曲家ジョンゲンの演奏時間30分の大曲ソナタは私も10年前に1度弾いただけです。
…1週間いっぱい合わせしてなんとかなりました~(抜け殻)。隠れた名曲ですから良かったらお聴き下さい。
https://youtu.be/21OKuo6RrMk

その10日後に演奏会をしたエヴァは逆にウィーンでの交換留学を終えてサンタクラスに戻って卒業試験。既に故郷スロヴェニア音楽学校で指導を始めており十分な練習時間を確保出来ない悩みを抱えて演奏会の6日前にハンブルクに到着しました。基礎力も音楽性も高い彼女ですが今回は不安の塊。おまけにウィーンの先生の音程に関する見解が腑に落ちないようで迷いも生じています。なるべく平常心で演奏出来るように祈るしか有りません。
基本的ポーカーフェイスを僅かに乱して発する愉快発言は相変わらずで、「打ち上げ会場予約…する必要ないわ。誰にも演奏会のこと知らせてないもん。絶対席有るわよ。」など。
かなり緊張していたようで1番不安の少ないはずのゴーベールのバラードで集中を乱しましたがその後綺麗な響が戻って来ました。最後の技巧的作品を丁寧に吹き終えて舞台裏でポーカーフェイスを思いっきり崩し、「終わったぁ~ッ!!!」と歓喜。打ち上げ会場は予約無しで座れました(笑)。
翌日直ぐに協奏曲の試験。良く吹きましたがサンタ先生との会話で不調の原因が分からないと涙を見せました。でも賢く真面目な彼女は直ぐ立ち直るでしょう。3月にフルート祭(ジャイアン主催)を聴きにハンブルクに来る!と言っているので毒舌を楽しみにしています。