笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

22年目の実現

 5月24日、自分史に新たなページが加わる。
 ジョン・ノイマイヤーといえばバレエ界の重鎮でハンブルク・バレエの総監督を長年務め、振付師としても世界に名を轟かす巨匠中の巨匠である。私ですらハンブルクに来る遥か昔から解説毒舌おばちゃんで知られるローザンヌ国際バレエコンクールのTV放送を通じてその名を知っていたほど有名なのだ。
 なのに何故ハンブルクに来て22年も経つのに1ッッッ度もハンブルク・バレエを観に行ったことがないの!?バカぢゃないの!?バレエ通の猫娘(フルート・台湾)に呆れられる以上に自分でも我ながら22年間呆れ帰り続けました。
 そして遂にノイマイヤーはこの夏で引退…。とうとうノイマイヤー・バレエを観ることは夢に終わったか…と悲嘆に暮れる日々を送っておりました(自分のせいだろッ!)。
 それが先日プリケツM(声楽・ドイツ)が連絡をくれて、「今日のハンブルク・バレエのチケットが2枚貰えたんだけど一緒に行く?」というものだった。
 明後日室内楽の演奏会で初めて弾く大曲の準備に不安が有ったので1分だけ迷って、「行く!」と返信。念願叶うので有ります。


 演目は『ドーナ・ノービス・パーチェム』で、バッハのロ短調ミサに振り付けされた2部からなる作品。プリケツMの友人が合唱で参加していてチケットを手配してくれたのだそうだ。当然ながらプリケツM共々音楽に耳が行ってしまうが私は初めてのハンブルク・バレエに殆ど躁状態。細やか且つ大胆な振り付けと正確で華やかな踊りに上演中ずっと両方のまなこが星型になっていたに違いない。
 主演のA・マルティネスの目まぐるしくリズムを正確に刻む膝下の動きが圧巻であった。カーテンコールでも大歓声があがった。


 かくして長年のトロイメライが巨匠の引退直前に滑り込みで実現したのでありました。猫娘にどのタイミングで衝撃的に報告しようか思案中です(バカ)。
 お次は今までどの世代の学生さんからも、「行かなきゃダメですよ〜!」と言われ続けているミニチュア・ワンダーランドに行かなくてはいけません。