ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番は私の最も好きなピアノ協奏曲ベスト3に入る(他の2曲はと訊かないでいただきたい)。シャルル君のキレイな音であの場所はこの場所はどう響くのかわくわくである。
事前に主催者からメール。会場4階のショウルームで歴史的ベヒシュタインのピアノの催しがあって、演奏会のチケットをお持ちの方はご招待です!だそうだがポーランド語分かんないし…と思って辞めた。今思えば行けば良かった…。
そして、「終演後ロビーにてピアニストのサイン会があります。彼のCDをお持ちの方にピアニストがサインします。」だそうです。
さて、終演後とは?
プログラムの前半がベートーヴェン。後半はブルックナーの交響曲第6番。演奏時間約55分。
………。
ベートーヴェンが終わったら帰ってホテルのレストランで晩メシ!と思っていたのだがブルックナーも聴かないとシャルル君にはお目にかかれないらしい。2月のチェンストホヴァといい私はポーランドでは演奏会の後にはホテルのレストランに間に合わないらしい。でもシャルル君へのビール進呈式は大事(どこが)だしブルックナーにしては短いし(感覚麻痺)後半も聴くことにしよう。
開演前に指揮者の王様(ケーニッヒさんという名で王様を意味する)が動画でご挨拶。名に反してホンワカした感じ。英語で手短な曲目解説をしてくれた。ポーランド語よりはずっとずーっとありがたし!
いざ開演。特にベートーヴェンのような内容の濃い作品になるとソリストが私を見て私を聴いてタイプか作品を通してメッセージを伝えるタイプかはっきりと分かる。第4協奏曲は比較的短い第2楽章を除いて全体に明るさと幸福感に溢れており、シャルル君の演奏は夏の日差しのようにキラキラしていた。次から次へと新しい驚きを楽しんでいるようだった。オケはちょっと響きが直前的でメリハリに欠けて物足りなかった。
お陰で第1楽章のカデンツァがオケよりもっと交響的に聴こえた。テンポ設定は大胆で且つ説得力が有った。
比較的短いと書いた第2楽章は叙唱的な手法で前後の楽章に比べて印象が薄くなりがちだが、冒頭のピアノ独奏部が素ッ晴らしかったッ!!!静かだが深い息づかいは悲しみというよりは慈しみの祈りのようであった。それだけに第3楽章がより一層喜ばしく感じられた。
アンコールはショパンの国らしく嬰ハ短調の夜想曲。いつ聴いても悲しく美しい…。
来て良かった〜!とワナワナしながら休憩中に携帯電話をオンにしてみたらなんとさっき演奏を終えたばかりのシャルル君がオンラインになっている。まさか返事はくれないだろうと思いつつ、
「ブラボー!ではブルックナーの後で!」
とメッセージを送るとなんと、
「ありがとう!後でね!」
と直ぐに返事をくれた。
噂のブルックナーはアンサンブルの難しそうな冒頭部。第2楽章は表情豊かな旋律と和声が続いて結構好きかも。王様の指揮は長い曲を明確にまとめていて中々の実力とみた。細身に長い脚で柔軟に指揮をする姿は時にフラダンスのようであった。
終楽章は次々にドラマが起こって時が流れて行くのだが結末が意外にもあっさりとしていて聴衆も拍手のタイミングに戸惑ったが、ブラボーにスタンディング・オベーションまで付く盛り上がり。
ホールを出ると扉の正面でシャルル君がサイン会を始めていた。サインが欲しいおにーさんが急いでCDを買って列に並んだ(笑)。私は例によって臨時乗り換え駅シュトラールズントで買ったリュプツァーを1缶持って並んだ(電車が通常通り走っていれば買えなかった訳で…誉め殺し先生を見習って何事も前向きに考えるようにしましょう)。いつも話したいので1番後ろに並ぶのですが隣に深い感動の表情を湛えた女性が長く話したそうだったので今回は彼女に最後尾を譲ることにしました。
今回も彼は、
「あまり何度も弾いた曲じゃないからちょっと緊張しちゃって…3楽章はもっと練習しなきゃ。少し早過ぎた。」
と正直に胸の内を明かしてくれたから私には早過ぎなかったよと伝えた。明後日のリサイタルに残念ながら行けないと言うと、
「大丈夫!来年の4月にもそこで弾く予定だからその時に来てよ。」
とのこと。それは楽しみ!でもその前にプラハでのグリーグに行けたらその時に!と言って別れた。さあて、あの女性はシャルル君といっぱい話せたかな?
ホテルに戻るとやっぱりレストランは閉まっていた…。しっしかし!ホテルの隣はなんとビアホール!で深夜まで空いていたッ!喜び勇んで駆け込みオリジナルビールと郷土料理をいただく。1泊だったけれど今回も楽しかった。


具沢山のジューレク

豚肉のシュチェチン風