笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

チェロ・ホルン

 4月20日〜23日、腹話術人形劇場にてチェロの講習会。3日間の予定が参加者が多く1日繰り上げて始まった。講師演奏会では無伴奏曲のみを演奏するということで私はレッスンでの伴奏のみ。

 大人気の先生でインテリ。的確な指導と豊かな知識・経験。朗らかでフレンドリー。ただ喋るのが早過ぎて疲れる…。
 演奏も1つ1つのフレーズにも表現にも説得力が有る。客席にいたお陰で十分に堪能。
 ただピアニストには全く興味がないらしい。私に感謝する必要もないしして欲しくもないのだがこういう人にはあまりお目にかかったことがなく少々面食らった。威張っている訳でも見下している訳でもないのだがまたご一緒したいとはあまり思わない。

 4月25日、ホルンの学内演奏会で何故かリゲティのホルン協奏曲を共演。
 今年はハンブルクでも活躍したハンガリーの現代作曲家リゲティの生誕100周年で、我らが音大でも教鞭を執った彼を記念する行事がいっぱい催された。
 このホルン協奏曲は独奏ホルン、4本のナチュラルホルンと小オーケストラの為の作品で、ナチュラルホルンも先生(ハンガリー出身)の門下生が演奏したので、ピアノ伴奏譜から大分音を減らせて助かったッ!
 とはいえまだまだ難しい。特に第4楽章(全7楽章)の後半が小オーケストラの何十声部だかのカノンになっている。全部1人で弾けるわけないけどここぞとばかりに両手1声部ずつだけに自分で編曲した。それでも十分難しくて当日までカノン部分を省略させてもらうか迷いに迷った。でも折角編曲したし折角練習したしどうしよう…。


 本番だけちゃんと弾けた…。証拠に録音しておけば良かった…。


 ナチュラルホルンを吹いた強面親切J君(ドイツ)は、
「君のソロが進むにつれて僕達の空いた口が段々大きくなって行ったんだよ。」
と言ってくれた。ソリストを務めたI君(スイス)はどこで知ったのか、
「君はビールが好きでしょ!」
とビールを6本くれた。心当たりは無限に有るけど。


 カノンの為半狂乱になっていた頃ヴァイオリンのたこ焼き先生が元気?て訊くから、

リゲティのせいで元気ぢゃありませんッ!なんで彼は100年前に生まれたんでしょうね!?」

と言うと、

「それは君が〇〇年前に生まれたのと同じぢゃないかな。」

と見事な切り返し。