笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

2週間と10分

 2週間の待機期間が終わって真ッ先に向かったのがピアノスタヂオ。2週間生ピアノに触っていなかった上に演奏会はもう明後日です。今日の午後には共演のSさんと合わせ、明日は何と師匠のレッスンを受けに。当然不安いっぱいで焦って練習しまくるべきところですが…。

 予約したスタヂオに到着するとごく普通のアパートの一室に見えます。中に入って戸を閉めると表を通り過ぎる人達の会話も鳥の囀りも聞こえます。おまけにピアノに傷を付けたら修理代全部払えと前例の証拠写真が貼り出されています。こんな所で近隣住民や所有者と争いたくないし、「緩徐楽章で良かったッ!」と思いながら3時間控えめに練習しました。
 それに引き換えSさんが予約してくれたスタヂオは適度な広さ・適度な残響・親切なスタッフ。予定より随分早く着いたのですが予約を前倒ししていただけて、お陰で続く飲み会に余裕で間に合いました。
 翌日がレッスン。20年ぶりの師匠のお宅は最寄りの駅が巨大化してしまってSさんナシでは辿り着けませんでした…。ドキドキしながら通して弾くと先生が、
「うん、やっぱり良い曲はピアノで聴いても良いね!」
と仰ったのでど〜っと安心しました…。


 今回の演奏会は元はと言えばコロナウィルス大流行に伴う外出自粛が始まった頃から開講された、我が師匠によるオンライン勉強会「バッハのインヴェンションとシンフォニア」の修了演奏会として企画されました。私は少々変わったピアノ少年時代を過ごしたためにインヴェンションもシンフォニアもまともに勉強したことが殆どなかったので、不幸中の幸いではありますがこのオンライン勉強会は大変良い機会でした。時差のお陰で時間帯も丁度良かったし!
 演奏会ではインヴェンションとシンフォニア各15曲に加えて師匠の編曲によるバッハの協奏曲とブラームスのワルツ集がプログラムに並んでいたので、同じく勉強会に参加していた同級生のSさんに共演を提案したのです。当初はワルツを2曲の予定でしたが師匠がブラームスの第2交響曲を全楽章2台ピアノ用に編曲することに決心されたのでその第2楽章に変更になりました。
 世界初演です。しかも第2楽章を最後に完成されたそうなので最新作です。
 旅程は待機期間を含め余裕を持って組みましたが出発直前に状況が2転3転してスイスから来日予定だった先輩は参加を断念されました。私も直前まで考えましたがやはり絶対弾きた〜い!と思って強行突破。思い返せば待機期間の2週間のなんと無駄だったことか…その間に旅も出来たし友人とも飲めたし…でも演奏を終えた時は無理して来て良かった〜と大満足でした。終わった後全員での乾杯がなかったことと、聴きに来て下さった方と殆ど話せなかったことは大変残念でした。そろそろ以前の演奏会の姿が戻って来ることを期待しています。