笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

ワインバーでカワイを弾く。

 10月21日、ネガティヴGちゃん(ソプラノ・リトアニア)とワインバーで演奏会。 …11月に入って演奏会は軒並み中止、レストランも持ち帰りのみとなっているにも関わらず時の流れが速く感じられるのは何故だろう?
 ネガティヴGちゃんは当初詩情豊かなチャランポランピアニストA(イタリア)と一緒に演奏予定だったが、直前になって練習時間が取れないからと断って来たそう。このような場合私はドタキャンピアニストが誰かとその理由を聞くことにしています。好奇心(も少しは有りますが)からではなく、誰かにピアニストを推薦する時の参考にするためです。1週間前にネガティヴGちゃんの彼氏J(バス・リトアニア)が同じ会場でAと演奏した時には彼は殆ど初見状態だったとか。
 会場は昔印刷会社だった所。歌手より早く着いたので指慣らしをさせてもらうと置いてあるのはオーナーも御自慢のカワイのい〜いピアノ。
 そのオーナーですが私の指慣らしを聴きながら速度が遅過ぎるだの次の和音はニ長調だの鬱陶しい…ぢゃなくて手強い。ところがちょっと手を休めたら、「貴方は音楽的だ。良いピアニストだ。」とお褒めの言葉を。
 …と思ったら!
「金曜日にソロコンサートをする気は有りますか?」
金曜日といえば後3日。その日は空いているし曲も何とか揃えられそうだけど心の準備が…弾かせて欲しい気もするけど恥を晒す可能性も高し。でも一体何故今頃?どうやらイタリアから帰って来る予定の詩情豊かなチャランポランピアニストが自宅待機をしないといけないらしい。ホントにチャランポランだ…。
 もし彼が弾けなくなってそれでも演奏会のキャンセルを避けたい場合にはお知らせ下さいと曖昧な返答をしておいた。


 卒業演奏会を1週間後に控えたネガティヴGちゃんは順調な仕上がり。終演後はタダワインを数杯頂いて帰って来ましたがオーナーからの連絡は無く、後日会場のウェブサイトを見てみたらどうやら金曜日の演奏会は中止になった模様です。
 やっぱりやらせてもらえば良かったかな?