笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

或る春の日、大学ホールにて。

 また間が空いてしまった…
 謎の体調回復直後チーカマちゃん卒業演奏会。
チ「つかぬ事をお伺いしますが、最寄りの女子トイレはどこかご存知ですか?」
私「行った事がないので男子トイレしか分かりません!」
…というのが初めての会話だったような。いざという時に芯の強さを発揮していましたが今回は弦楽器とのアンサンブルの極めて難しいブリスの作品を立派に演奏しました(曲目解説も自作)。
 その直ぐ後にバーゼルのR先生(フルート)講習会。すっかりお馴染みですが前日夜到着予定の飛行機がいきなりキャンセルされ、翌朝到着即レッスン開始。直前にたった1時間合わせて夜演奏会。上手く行ったのでR先生は、「次回はぶっつけ本番にしようか!」と仰いました。
 その後ダブリン・エディンバラへ酒ツアー、嫌な嫌~な日本滞在、リヨンで欧州組小同窓会を経て現在サンタ娘講習会で湖畔の古城に来ています。相変わらずの美しさです(城もサンタ娘も)。それぞれの写真は追って載せたいと思います。

 湖畔の古城へ出発前日、忌まわしき日本の記憶を清める為に友人を招いて同じ曲目を再演しました。ホールで指慣らしをしていると年配の女性が入って来て今の曲は何かと尋ねます。散歩中の方が見えてこういう質問をされることは良くあることなので、一般の音楽愛好家の方だろうと思い、グリーグの抒情小曲集の一曲だと言いますと、とても素敵と言って下さいました。
 ところが次の質問は、「リゲティの練習曲はここの学生さんには弾かれることはあるかしら?」とかなり専門的なものに。何故かリゲティ談義になり以前はリゲティの練習曲を数曲献呈されたB教授(嫌いだった)がいたので彼の学生が時々弾いていたが彼の引退後あまり弾く学生がいなくなったけど、練習曲第5番は楽しい曲ですよねと言うと…
「第5番は私に献呈されたの。」
なんと!彼女はピアニストのルイーズ・シブールさんだったのだ!一般音楽愛好家だと思ってナメた対応をしたような…申し訳ありません。
 それにしてもこんな事が日常的に起こるなんて得したような恥ずかしいような…何故かしんみりして家路につきました。