笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

星がきらきら独演会

 3月31日、函館で地味に独演会。入場料は取らず招待客だけで何を弾いても良い気楽な演奏会で今回が3度目。前回中学の同級生が、「ちょっとくらいはっちゃけたのも聴きたいなぁ!」と言ったのを受けてちょっと楽しめのプログラムにした。
モーツァルト:フランスの歌『ああ、お母さん聞いて』による12の変奏曲
・ハンニカイネン:6つの印象
・ルイ:翡翠の壇から見た情景
・モンサルバーチェ:イヴェットのためのソナチネ


 モーツァルトは所謂きらきら星変奏曲。ハンニカイネンはロマン派と印象派が混ざったような性格的小品集で、ルイは弦のグリッサンドも登場する現代的な作品だし、モンサルバーチェの終楽章では再びきらきら星の旋律が再登場する。どうぢゃ後藤!とプログラムに満足したところで気付く。


 ハッ彼は土曜日も仕事だった…。


 でも8時前には着けそうと言うし面白いに越したことはないし!と後藤が弦のグリッサンドに間に合うことを期待しつつモーツァルトの全ての繰り返しをすることに決める。
 ハンニカイネンの終曲『想い出』の前に心の中で「Iさん、聴いてね…。」と言ってから、2月に亡くなった友人の為に弾いた。良く弾けた。
 モンサルバーチェでは1番仕上がりの悪かった緩徐楽章が1番マシに弾けて日頃の努力とは一体なんなのだろうと生きて行くのがイヤになった。


 終わってみたら工藤も後藤も来ていた。工藤は最初から来てくれていたようなので戻って来たきらきら星の演出は分かってくれたであろう。いつから聴けたかと後藤に訊いたら、


「弦でジャジャーンってやってた曲から。」


おお正に狙い通り!モーツァルト繰り返して良かったッ!


「最後のきらきら星も面白かったよ。」
と言ってもらったので半分しか聴いていないとはいえ後藤作戦は成功。最初もきらきら星だったんだよ〜と言うと全部聴いてくれた工藤が、
「そうだよ〜!」
と相槌を打った。もっと言うとルイの第3楽章『南国の空』は南太平洋の夜空の満天の星の印象を音にしたもの。今回は星ピカピカのプログラムであった(ハンニカイネンでは雪も降ったけどね)。


 …でもプログラムに凝り過ぎていっぱい練習しないといけなかった為に忙しい春休みになってもうた。次回はもっと楽をせねば。