笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

またまた、喋り過ぎさん。

 11月11日、北ドイツの或る街の音楽大学オーボエの教授のオーディションで、R(仮名)と共演して来た。 Rとは10数年前に1度室内楽の演奏会で共演した。練習の間中数え間違え続けたサンタ先生を毎回救っていたものの本番ですっ転んでしまった。
 その数年後にアル中の噂が…酩酊状態で舞台に上がり謹慎処分になったらしいが、演奏会以来私とは疎遠だった。


 そのRから共演の依頼が来て引き受けたがこんなに喋りまくる人だとは知らなかった…。
 曲目を決める時にもこれこれこういう理由でこの曲がいいと思うけどそれでいい?それを変える時にもこういうわけだからあの曲よりこの曲の方がいいと思うけどどう?連絡時間を決める時にも何時から何時まではあれをしなきゃいけなくて何時から何時までは部屋が塞がってるから何時からでいい?その日はこれこれこういうわけで3時間、明日はこうでこうだから2時間でいい?前日はああしてこうするからお休みにしたいんだけどそれでいい?練習の時には何時に迎えに行く(乗車時間30秒)けど早すぎる?遅すぎる?といった感じ。
 ヘンデルソナタチェンバロで弾く予定で、練習にチェンバロのあるスタヂオを予約したら調律が狂ってて、チェンバロで練習することがいかに大切かを語られ学校のチェンバロ部屋を急遽予約することに…勿論合わせも増えた。


 そして練習時間は毎回変更され、待ち合わせ時間には毎回遅れて来た…。試験早く終わって〜。
 と思っていたら、「試験じゃなくても是非一緒に演奏会やろうぜ!」だって。あっ…そっそうですよね…やりましょうね…。


 演奏そのものはとても素晴らしく、彼の故郷の現代作曲家が彼の為に書いた曲目幻想的で共演を楽しんだ。私は演奏後直ぐハンブルクに帰ったがRは1次試験の結果が出るまで5時間以上待たなきゃいけなくて、もし受かればそれから2次試験だそうでその間どうやって過ごせばいいんだと悩みをつらつらと…。
 結果はどうだったのかと思っていたら夜にRから連絡。散々待たされた挙句審査員の1人が発作を起こして2次試験は1月に延期になった、と…まっまあ1次は受かったらしい。やれやれ。


 数日後、ギャラ値切りメールが来た…やれやれ。