笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

最少合わせ記録

 6月8日、ジャイアンの弟子S(フルート・ドイツ)卒業演奏会。美女なのだが起きてるのか寝てるのか分からない。去年中間試験の前にリズムの難しいピッコロ協奏曲を1回しか合わせに来なかった時極めて珍しく、
「君はピアノ と一緒に演奏するのが楽しくないのか?」
ときいてみたら、
「いいえ!とっても楽しいです。」
と言う。ならもっと合わせて〜!と言ってくれれば良いのに。
 師匠のジャイアンのまなこにもそういった態度が気に入らなかったらしく、「お前、大学院受けても(オレ様のクラスに)取ってやんねェからな!」と宣言したらしい(それもどうかと思うけど…)。


 曲目は意欲的でバートンのソナチネメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を共演した。他は独奏曲と室内楽曲が1つずつ。前回の反省か演奏会直前には何度か合わせやホールでの通し練習もして照準を合わせている様子。
 ところが前日のリハーサルで室内楽曲を聴いたらかなりのお粗末度数。この人は誰かが背中を押さないと事態を把握しないのだろうか…。ジャイアンも慌てて時間を大幅に押して最初の音合わせなど初心者相手のようなレッスンを始める。しかし何故今頃…前日まで生徒の演奏を1度も聴いてなかったのか!?ムダに待たされて私も迷惑。


 それでも彼女なりに頑張って当日は出来る限りの演奏をした。今後は別の道に進むらしいが4年間の(ジャイアン弟子としての)成果を発揮して納得の卒業だろう。
 …と思っていたら、非公開試験の合わせに1度も来ず、いざ試験では2小説毎に暗譜を間違える散々な出来。落第したという話は聞かないがあれでパスする音楽大学って一体…と思わず転職を考えそうになった。


 結局Sとは4年間を通じて15回位しか合わせをしなかったような気がするので彼女がフルートを辞めても特に何の感情も起こらないが、折角入学して来たのにと残念な気はする。