笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

譜めくり君涙の訴え

遠近法に続いて夏学期に卒業した6人をご紹介しましょう。付き合いの長かった学生もいてオヤジ的感慨も深いです。
譜めくり君(ヴァイオリン・スペイン)は共通の知り合いがいたので挨拶はしていましたが共演は今回が初めて。何故譜めくり君かというと譜めくりが上手いからです。今まではおじさん(私よりも年上なんです)と一緒に弾いていたが彼が多忙なのか他に理由が有るのか演奏会の2ヶ月前に中々難しいプログラムで共演を依頼して来ました。ちょっと遅いんぢゃな~い?と思ったのて直ぐに返事をせず少し焦らしてやれ!と思ったら彼が弾く予定のヒナステラのパンペアーナ第1番を聴いて…!

カッコい~!他の人に取られてたまるかッ!

と慌てて引き受けました(動機はいつも単純)。
4月に緑の党先生(チェンバロ・ドイツ)の計らいで郊外の教会でベートーヴェンソナタを弾かせてもらった帰り、ドイツ鉄道は遅れ過ぎるという話題になり、以前住んでいた所から特急を利用していた時はいっつもアルトナ(昔の住処の最寄駅)とダムトア(学校の最寄駅)の間で既に遅延が…と言うと、
「特急で学校に通ってたの?」とのボケが…コイツ面白いヤツだ、と思ったのです。
師匠のH先生(仮名)の細かい細かいレッスンに遂に頭に来て或る日合わせの前に私に向かって半泣きで1時間近く訴え続けました。彼と先生にとって1番良い状況を考えつつ、演奏会直前のレッスンを上手いこと辞退出来るように祈りました。
果たしてその願いは合意の下実現し、公開演奏会は素晴らしい出来でH先生も喜ばれ一安心。その後念願のザルツブルクの大学に合格してから非公開試験を迎えました。
…長い間ヴァイオリンの試験で弾いていなかったので忘れていましたがバッハもモーツァルトチャイコフスキーも暗譜なんですよね。古典協奏曲1曲でパニックになってたフルートの子達もっと頑張らないと…。
どちらの試験でも終わった後何故か美味しいチョコレートをくれた譜めくり君、修行の場をザルツブルクに移します。