笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

姐御、整形ちゃん、女王様、パブロ。

7月3日、姐御(フルート・ドイツ)卒業演奏会。
ソリストコースの入試がオケのオーディションと重なるから別の日にしてくんない?との要請が却下され逆ギレ!今日が姐御学生最後の日になる。
曲目はメチャクチャ!ウケ狙い・ひけらかし・マニアックで全体のバランスが全く取れていない。騒音と言って良い「テクノパレード」では聴衆大拍手。演奏後は師匠のジャイアソ大絶賛。生きて行くのが少しイヤになった。
打ち上げ会場ではサッカーW杯の決勝トーナメント1回戦、イングランド対コロンビアが放送されていた。終了直前にコロンビアが同点に追いつくと客の1人が雄叫びを上げながらイングランドファンも多い店内を駆け回り大顰蹙。それを見たサンタ先生と猫背君が大笑いしていたが試合終了時には雄叫び氏の姿は見えなかった。つまみ出されたのであろう。

翌4日、整形ちゃん(フルート・中国)卒業演奏会。「ドイツが負けたから一昨年(大学院修了演奏会が欧州選手権準決勝と重なった)より練習出来たわ。」と彼女。カプースチン作曲の三重奏曲のチェロを良く知らないで史上最大いい加減チェリストM(ギリシャ)に頼んだと言うから慌てて辞めさせて卒業生の集める君(ドイツ)に頼んだ。ほっ。
前半は随分緊張していたようでバッハとライネッケはかなり走ってしまったが、休憩後は別人のよう。いっぱい練習したカプースチンも思いっきり出来ました。

7月9日、女王様或いは真澄ちゃん(声楽・オランダ)卒業演奏会。ソリストコースに合格しているが今日の演奏会でヘタクソに歌ったら取り消し。まさかその心配は無いと思うが…。本来声楽の卒業演奏会では教授陣が伴奏するのだが誰もシューベルト「魔王」を弾きたがらなくて私が弾くことに。10年ぶりに弾いたら腕が痛くなる箇所が断然早く来てジジイ度数高騰を感じた。
照明を落としてスポットライトの下で語りを入れたり凝った演出。お陰で楽譜が見辛いったらありゃしねえ。おまけに前日になって共演者全員にメールで、
「衣装は黒の上下で。オレンジ色のアクセントを付けてね♡。」とお達しが。遅過ぎ+怪し過ぎで殆ど誰も実行出来ず。私は確保していた練習室の鍵がオレンジ色だったのでピアノの上に徐に置いて弾き始めた。女王様は素晴らしい集中力を発揮してスタンディングオベーションまで!

翌10日、パブロ(ギター・ブラジル)卒業演奏会。サッカー準決勝の日だったが準々決勝でブラジルが敗れた為ブラジル人の友人が沢山聴きに来られたそうだ。当初付き合っていたハープのL(フランス)と1曲共演予定だったが師匠(巨大化した7人の小人みたい)の、「試験までに何が起こるか分からないから違う曲にしておきなさい。」とのお達しで母国の大作曲家ヴィラ=ロボスのギター協奏曲を演奏することに。師匠の予言通り演奏会前に2人は別れたのであった…。
ウィーンから女神(フルート・ルーマニア)がやって来てピアソラのタンゴを共演した。旧友一同は彼女の来訪(降臨)を楽しみにしており演奏会まで毎日一緒に飲んだ。演奏は2人共素晴らしかったッ!

これで夏学期終了。現在遊び歩き中で、色々楽しい事が起こっております。