笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

卵ビールの神様

 2年前に引っ越して来た街の商店街には毎年クリスマス・マーケットが並ぶ。ホットワインや焼きソーセージを家から歩いて2分の地点で楽しめるのだ(良い所に引っ越して来たッ!)。

 マーケットがもう直ぐ終わる〜(涙)!という或る日、勿論もう授業は無いので学校に練習にでも行くか〜とノロノロとクリスマス市との名残を惜しんでいると直ぐ近くで、
「貴方達のびっくりコンサートが懐かしい。」
という声がしました。


 びっくりコンサートというのは私が同時の学生有志と一緒に非公式に不定期に開催していた学内コンサートで正式名称は『知られざる学内演奏会』だった。2005年に5人で始め次第に常連客も増えたがいい加減な学生も増え面識も無いのに、「あたしにも弾かせてよ。」と言って来て当日キャンセルとか。2015年の或る日ドタキャン数名の為に急遽私が1人で数曲弾いて、「もうやりません!」と終焉宣言をした。


 知られざる(以下略)には何人かの常連客がおられたが声の主(以下Zさん)には覚えがなかった。兎に角辞めて10年近く経つのに覚えられていたことがびっくりコンサートよりもっともーっとびっくりだった。
 今住んでいる所には商店街の近くに市民会館が有ってそこの小さいホールで2・3度音楽大学主催の演奏会に出たことがあり、つい最近まではメゾソプラノのA(ドイツ)が動画の収録をそこで行っていた(彼女の声がドラマティックに成長したのでより大きな会場が必要になった)。Zさんに折角ここに引っ越して来たからには市民会館で知られざるのような事を始めたいと言うとなんと!


「あのホールのピアノは私が寄贈したんですよ。知られざる会社のピアノだけど素晴らしい音!」


おお〜なんか知られざる復刻版にぴったりぢゃ〜ん!?私も誉め殺し先生同様に行動が速いとは言えず、「今夜こそメール送る。絶対送るわ。」と言い続けて何年も送らない方だがこっこんどこそ!Zさんは市民会館にも多少顔が効くし試してみる価値はありますよと言って下さった。


「私はツィーゲンハインといいます。市民会館の方も分かるはずです。」


おおなんと嘗て卵ビールを飲みに行った我がお気に入りの街と同じ名前ぢゃ〜ん!と言ったら…。


「私そこの出身ですよ。」


!!!


 大体ヘッセン州ツィーゲンハインを知っている人がハンブルクにどのくらいいるのか…。しかもその人が近くに住んでいて更に知られざる常連客だったとはッ!
 こっこれは卵ビールの神様(そんなのいるかッ!)の知られざる復刻版をやれとのお告げでは…。
 Zさん(本名が出たんだから略しても意味ないと思うだろうがツィーゲンハインさんだと長い)によるとあの辺りは色々名物料理が有るそう。今度行ったらじゃがいもソーセージを試してみなきゃ。お城(今は刑務所らしい)も見なきゃ。


 …そして2週間経つ今もま〜だ行動を起こしていない。今夜こそ送る。絶対送るわ。