笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

2人のスーパージジイ達

 12月に入って直ぐの頃ワカメちゃん(フルート・日本)から連絡が有った。4日にサンタ先生が老人ホームで演奏するって聞いたんですけど…という内容だった(サンタ先生が老人ホームに住んでいる訳ではありません。念の為)。

 4日といえば日曜日。偶然な〜んにも予定なし!会場は我が新居の隣の隣の駅。当日券が有ったら行っちゃお〜!
 どんな演奏会かといえば主にハンブルクを拠点とする3つのオーケストラを退団した人で構成される合奏団の演奏会で、数年前に聴いた時にはサンタ先生はモーツァルトのフルートとハープの為の協奏曲を吹いて1箇所数え間違えたんだった(後で言い訳)。今回はバッハの管弦楽組曲だとか。私もずっとずーっと昔から好きな名曲中の名曲。聴きた〜い!
 当日券が有るらしいというワカメちゃん情報を頼りにいざ会場へ。もし入れなかったら共にクリスマス市で灼熱葡萄酒を飲むつもり(灼け自棄酒)。
 無事入場。聴けないはずだったさあクーナを下ろしましょうさん(フルート・日本)も予定が覆って来られたようです。思えば彼女はプリケツコンサートも森のくまさんコンサートも生徒さんがドタキャンして聴けたんだった。羨ましい強運…。
 前半が終わって休憩中にサンタ先生が舞台上から私達を発見したらしくこちらを見てニマニマしていたのでワカメちゃん共々コートを椅子の背に掛けてさあ舞台を目指しましょうと思ったらもう目の前にサンタ先生が来ていた(笑)。そして今朝起きてから会場入りするまでに起こった一連の出来事を我々が口を挟む隙をも与えず一気に述べ終えると、「そういう訳だからお手柔らかにね。」と言って舞台上に戻って行った。私はぜ〜んぜん喋れなかった…。
 直ぐに客席入口からサンタ夫人がやって来て、サンタ先生が今朝起きてから会場入りするまでにサンタ先生の身に起こったこと(大体はたった今本人の口から聞いたこと)を我々が口を挟む隙をも与えず一気に述べられた。ロビーに出る時間が無くなった…。
 さて後半は数年前に我等が音楽大学を引退された名教師のAB先生(ホルン・オランダ)率いるモーツァルトのホルン5重奏曲から始まった。数年前に引退ということは既に70歳前後だと思うが、パワー・スタミナ・コントロール・音色どれをとっても超一流のまま。思わずワカメちゃんに、「スーパージジイだ…。」と耳打ちしてしまいました。
 続くサンタ先生は明日胃カメラの検査が有るから今日の朝食以来な〜んにも食べていないという話を2度聞かされていたので演奏途中でぶっ倒れやしないかと思いましたがいつもながらの美し〜音でばっちり吹きました(数え間違えなかったし)。スタミナ切れどころか最終楽章のバディヌリが1番ノリノリだったように思います。
 演奏後さあクーナを下ろしましょうさんが、「スーパージジイですね!」と仰いました。かくして演奏会は2人のスーパージジイズに感嘆して終わったのであります。
 翌週サンタ先生にメッセージを送ったら病気中でした。やはりこのシーズンは忙し過ぎるのだろうか…。