笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

すばらしきオペラの世界

 ヴィオラのJ(ドイツ)の卒業演奏会でクラリネットのP(アメリカ)とブルッフの作品を演奏。
 Jはテノールの湖上でご機嫌(ウクライナ)の奥さんで以前から知っていたが、Pとは初顔合わせ。彼女、とても陽気で愉快な黒人女性で音色の美しさは特筆もの。練習中も話に花が咲いて止められず、恐らく楽器を演奏している時間を上回ったであろう。
 第5曲の或る部分がモーツァルトの歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」に似ている、と彼女は言った。そこから主題は歌劇のあらすじに脱線した。Pが言うには、
「あたしオペラのストーリーって大好き!出会って結婚して別れて泣いて浮気してバレて謝って仲直り。これが全部1日の出来事なんだもの!フィガロの結婚もそうよね。1日に沢山有り過ぎてメチャクチャ!」
そこでJがすかさず、
「昔は今よりもずっと寿命が短かったから何でも急がないといけなかったのよ、きっと。」と言った。お笑い女王の座がPからJへと移った瞬間であった。