笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

オーボエ編まとめなきゃ。

声楽・フルートと愉快な事が起こらなかった入試ですが今やオーボエが期待の的。受験生ではなく先生達が何かとやってくれるのです。
大学院を受験したアジア人女性。決して悪くはないのだが2人の先生は興味を示さなかった。低い点でも合格させれば成績上位者が入学を希望しなかった場合に補欠合格出来る可能性が有る。お2人は不合格点の評価をすることに決めたがその場合書類に理由を記入しないといけない。
「えっと~何書く~?ヴィブラートが一定過ぎ…音色も変化に乏しい…それから…悪くはないのよね…」
B先生少し言葉を切って、
「私達が取りたくない。」
空かさず落武者先生、
「そんなこと書いたらダメだよ!」
「冗談よ。」
私が彼女はテンポ感が悪くて一緒に弾き辛かったと言うと、
「良いこと言ってくれたわ~それ書きましょ!」
と言った具合。

1週間後、サラとふくよか君の非公開試験。学部生は試験の2週間前に課題曲を指定され自力で仕上げる規定だがB先生が楽譜を忘れたりして10日足らずしか準備出来なかった…。演奏前にはサラがちゃ~んと苦情を申し立てたが演奏はばっちり。
そして採点。B先生がひとつひとつ読み上げながら表に記入していく。
「え~っと私が○・○、パウルス(落武者先生)が○・○、あなたが○・○。全部足して○・○、それを3で割ったら○・○、それに5を掛けると…後は自分で計算してもらいましょ!」
と最後の欄は空欄で提出したのでありました。
数週間前から呼吸に問題を感じているふくよか君。落武者先生も以前心臓の手術をしており、「多分先生と同じ病気。」な~んて微笑みながら言っていたが、吹き始めて間もなく様子がおかしくなり、自らも経験の有る落武者先生が危険と判断して慌てて止めた。最後まで吹けなかった彼はとても悲しそうに、「いっぱい合わせしてもらったのに…」と呟いてB先生の車で救急病院へ向かい、即入院となった。
幸い心臓ではなく横隔膜の炎症だったが学内演奏会も棄権した。間もなく帰国し兵役義務を遂行する為、あの日が暫しの別れの日となった。2年経ったらまた逢えますように!