笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

オーベルストドルフへ。

 いざドイツ最南端の町オーベルストドルフへ。フィギュアスケートのショーを観戦するために訪れたが、同時にスキージャンプのジャンプ週間開幕戦も開催されていたのだが当日の朝葛西選手が予選を通過出来なかったというニュースで初めて知った・・・。ドイツはジャンプが強いので地元のファンにとっても白熱の試合だろうが、フィギュアスケートでもここオーベルストドルフを練習拠点とするペアのサブチェンコ&マッソーが2月のオリンピックで優勝したので盛り上がるに違いない。
 アウクスブルク始発の電車で余裕で座っていると南下するに従ってどんな小さな駅からも次々と小旗やビールを持ったり仮装したファンが大量に乗り込んで来て、「10分後に臨時列車が出ますからもうこの電車には乗らないで下さあい!」という場内放送が入る程の混雑ぶり。ジャンプの人気の高さが伺えた。
 オーベルストドルフに辿り着くと駅が山荘風で早くもワクワクしてきた。
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 駅のパン屋さんでレバーケーゼを買って人の間を縫って駅の外へ出ようとすると或るおに―さんが、「ノリアキ。」と声をかけてくる。残念ながら彼は予選でダメだったから今日は飛ばないよと言うとすごくがっかりした表情を見せ、「次のガルミッシュではきっとやってくれるよ!」と言ってくれた。葛西選手はこちらでも大人気なのだ。
 駅からの道もアルプスっぽい雰囲気がいっぱいでテンションが上がる。
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 奇跡的に一泊だけ開いていたホテル(誰か直前にキャンセルしたに違いない)もすごく良くて幸せ度数がショー観戦に向けてどんどん高くなってきた。ショーの後ではレストランが閉まってしまうので大急ぎで夕食に向かうと隣の席の老婦人たちがジャンプの結果を噂していた。
「優勝したのは日本の選手よ。コヤバシよ。」
ちょっと違うんだけど・・・と思いながら秘かに小林選手の優勝を喜ぶ。会場に向かう途中には激戦の終わったジャンプ台が望めた。
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 アイスショーの会場に入ると嘗てここで練習を積んだ名選手たちの写真が掲げてあった。サラエヴォ五輪でのボレロの演技が伝説となっているイギリスのトービル&ディーンをはじめ長く選手生活を続けた美人選手のライストナー、毎年どんなダンスを見せるのか楽しみにしていたフィンランドのラハカモ&コッコなど。応援した彼らがここでトレーニングしていたのかとファン歴の長い私としては非常に感慨深かった。
 ショーは驚く程の正確な技術力と滑りの綺麗さを持ったロシアの若ーい選手達や、私が未だ大学生だった頃のオリンピック代表だったフランスのリレイ選手の空中でのフープを使った演技が印象に残った。出産を経て復帰したペアのザルドゥア&スハノフは以前通りの迫力の有るアクロバティックな動きで観客をどよめかせた。
 思いっきり期待してきたサブチェンコ&マッソーは一つ一つの動きが美しくつながる期待通りの演技。数週間前に急死したコーチへの思いも有ったことだろう。
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誰だか分からないでしょうが証拠写真です。
 フィナーレの後全員一列で登場して観客席にお辞儀をする時に先頭のマッソー選手は一人方向を間違えてアナウンサーに、「ブルーノ、反対だよ!」と突っ込まれ頭をポリポリ。開き直ってもう一度一人だけ反対方向へ思いっきり派手に挨拶。お茶目な一面を見せました。

 というわけで大満足のオーベルストドルフ滞在。次回はジャンプも是非観たいです!