笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

冬学期終わる。

 2月28日、ドアマン先生クラス学内演奏会。またよりによって冬学期最終日に…お陰で誰よりも春休み突入が遅くなった。来学期からジャイアン門下に移籍するJ(ドイツ)は日に日にストレスが募って行ったらしく、当日になって出演を取りやめた。


 伴奏員をしていると仏雑な師弟関係を目の当たりにする事も多く、かと言って口を出す事も出来ず悲しくなる時がある。度々学生から相談を受けることが有るが下手なドイツ語で公平・冷静かつ正直な意見を述べるのに頭を悩ます。大抵の場合は学生には感謝されるが稀に愚かな教授が学校の権力者に私をクビにしろと詰め寄る場合があるので慎重にならざるを得ない。尤もドアマン先生は全校良い人ランキング最上位なのでその心配は無いが。


 演奏会ではマイペースなH(ドイツ)がシューベルトの難曲「萎める花」を吹き切って成長を見せた。いつも演奏会で練習時の7割しか発揮出来ないM(トルコ)はやっとほぼ練習通りに吹いた(自作カデンツァの最後のトリルを聞き逃して後奏を入り遅れた…)。やっと各都市での入学試験を終えたJ(台湾)はマイナー過ぎてどこの入学試験でも吹かされなかったチュビンの作品を、「もう入試無〜い!」と晴れ晴れと吹いた。秋のミュンヘン国際音楽コンクールの参加を希望している小学生(韓国)はコンクールの課題曲を2曲。髪の芸術家(ウクライナ)のハチャトゥリアンは響の力強さが増して素晴らしい出来だったが最後だけちょっと数え間違えた。


 終演後は近場の他よりは安くてそんなに凄く不味くはないイタリア料理店で冬学期慰労会(要するに打ち上げ)。入店すると遥かに人数が多いはずのクラリネットのクラス{本来なら私も弾くべきなのだが先生達がのんびりしていて日程が重なったために同僚のS(モルドヴァ)が1人で弾くことになった}が先に打ち上がり始めていた。懐かしのクラリネットの卒業生も聴きに来ていたりして、ドアマン先生帰宅後もクラリネットの連中に合流して遅くまで飲みまくった。


 これにて学校は春休みに突入。この地点ではこんな春休みになるとは未だ思っていなかった…。