笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

願い

 昔から、少し楽しみにしていた事が直前になって何らかの理由でお流れになることがよく有った。友人と食事の約束をしていたらその友人が病気になったり、演奏会やスポーツの試合を観に行く予定だったら私の都合を聞かずその日を学内演奏会にされたり(今なら断る図々しさを身につけたが以前は持ち合わせていなかった)、お気に入りの奏者と共演するはずが金が欲しいピアニストに横取りされたり…。あまりに度重なるうちに何かを楽しみにすることをしなくなってしまった。でもそのおかげでそういった予定が流れてもあまり悲しむこともなくなった。考えてみたらこれはかなり悲しいことではなかろうか…。

 しかし先日、カールスルーエの友人を訪ねる予定の前日に本人からメッセージが届いた。
「今日母が亡くなって実家に行かないといけないから、明日5時以降なら来てもらえるけど…それとも後日改めて会う?」


 もし誰かが私のささやかな楽しみを妨害するのにここまでするなら辞めて欲しい。私は特別な人間では全くない。