笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

弱々しい男たち

 2月2日、具合先生クラス学内演奏会。総勢10人だが2人欠場で2人は別のピアニストと歌う。なので今日もわりと楽。あるぞう君(カウンターテノール・台湾)はいつもガラスさん(Cさんより改名。洗礼名がクリスタルらしいので)と歌うしJ(ソプラノ・ドイツ)は歌曲伴奏の試験を控えた友人と歌う。

 ソプラノのE(ドイツ)は暗譜の不安に加えて体調が優れず出演見送り。最近婚約したそうなので予定していたシューマンの『女の愛と生涯』を第4曲(婚約指輪の章)まで歌って欲しかった(全部歌うと未亡人になる)。
 Lは最後まで諦めきれず当日昼過ぎに、
「後2・3時間で声の調子がどうなるか見てみます。」
と具合先生にメールを送ったところ先生に、
「辞めなさい!」
と決定を下された。


 開演前に廊下であるぞう君に遭遇すると例によってド緊張の面持ち。具合先生は懲りもせず励ましに挑戦するがこういう人には効果が無いことを未だに解らないのか分かっていてもやってしまうのか。いざ演奏会では(少なくとも彼の力としては)立派に歌ったと思うが後はいつもの不満顔。処置なしだ…。
 バリトンの船頭さん(ドイツ。時々湖の対岸からボートを漕いで登校する)もかなりのカオスな人物でレッスンに楽譜を忘れてさっさと諦めればいいのに楽譜を求めて他のレッスン室を訪ね回りレッスン時間が大幅に減る、ということが頻発する人物。レッスンのドタキャンも毎回先ず誰かと交換してその代えた時間をまた誰かと交換して結局キャンセルしてその穴埋めをすべくクラス中に朝の7時にメールを送りまくりそこに間違ったレッスン時間を書く、といった具合(流石具合弟子)。今回も数ヶ所いきなり全く違う音程で歌い始めしかもその箇所が毎回違い(私達が)頭を抱えていたが本番ではとても良い出来で見事にトップバッターを務めた。
 フランスから来た新入生L(バリトン)は学内演奏会初出場。声楽を始めたのが遅く入学前にドイツ語も勉強して来たとはいえ最終課程を間もなく修了するあるぞう君よりも遥かに落ち着いているのは如何なものか…。今回はシューマンとロパルツの歌曲を歌ったがこの調子でフランスのあまり知られていない歌曲をジャンジャン歌わせ、いや歌ってもらいたいです。
 卒業を控えた女性陣は準備も舞台上の振る舞いも堂々としたもの。特にトリを務めたソプラノのF(ドイツ)は不調だったのだが驚きの臨機応変さで難曲を歌い切った。
 来年はFくらい頼りになる男声が来るといいんですがね…。