笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

日比啓子先生を悼む。

 声楽家の日比啓子先生が亡くなられた。若々しい方だったのでまだまだお元気だと思っていた。 私の通った音楽高校には声楽科が無かったので、声楽の学生と共演するようになったのは大学に入ってから。先輩にくっついて行った初めてのレッスンが日比先生のクラスだった。朗らかで感じの良い方で、私の声楽伴奏人生はこの時に始まった。


フルートのHさん「先生はどなたですか?」
ソプラノのSさん「ヒビケイコという冗談みたいな名前の先生です。」


 言動に無駄が無く、歯に絹を着せない正直な物言いに時として笑いを抑えないといけなかった。


(苦手のドイツ歌曲に続いて得意のフランス歌曲を歌い終えた学生に向かって)
「却ってこっちの方が大変そうよ〜!」


日比「これは受験曲に入ってるの?」
受験生「はい。」
日比「あっそう。じゃあきっちりと(レッスンしましょう)。」


学生「カァーロノッッッメッッッケェーイルミィーオ…」
日比「そこはそのテンポだと遅すぎない?いえ遅くはないけどあなたには無理よ!」


 新しい先生を探していた友人に日比先生を推薦したら、快く引き受けて下さり、彼女と共に日本歌曲のCDを録音した時にも御指導頂いた。


 日比啓子先生、大変お世話になりました!


 合掌