笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

フランク祭り

 冬学期が始まって間もなくハンブルク音楽演劇大学ではセザール・フランク祭りが有った。フランクは今年が生誕200周年。

 オルガンのトトロ先生(ドイツ・以前はトトロ体型ではなかったのだが…)の企画らしく、彼と親しい具合先生(声楽・ドイツ)のクラスの学生達がフランクの歌曲を歌うことになった。
 フランクといえばピアニストにとっては『前奏曲・コラールとフーガ』と『前奏曲・アリアと終曲』で知られ、どちらも傑作で難曲。ヴァイオリン・ソナタも彼の代表作で私もヴァイオリンの他にチェロやフルートと一緒に演奏したことがある。実は今月もオルデンブルクで弾いて来たばかり。
 オルガニストにとっては非常に重要な作曲家で傑作の宝庫であるらしい。フランク祭りの一環としてアルトナの教会でオルガン曲の夕べも予定されている。
 しかし歌曲はと言うとソプラノのE(ドイツ)が歌う『天使のパン』を以前バリトンのグーテンターク(韓国)と1度演奏しただけでほぼ未知の世界。演奏会は休み明け直ぐだしちょっと心配。
 ここで今回出演予定の具合クラスの女生徒達を簡単にご紹介します(国籍は全員ドイツ)。
・F(ソプラノ・4年目)
教育音楽出身。小柄で朗らかなコロラトゥーラ。生徒会でも頑張っているらしい。
・A1(メゾソプラノ・4年目)
眠そうな顔でマイペース。愛想はないが実は極めてまとも。着実に成長。
・A2(ソプラノ・4年目)
大人しく見えて内面かなり面白そう。豊かな声。リズムを良く間違える。
・E1(ソプラノ・4年目)
スウェーデン人とのハーフ。教育音楽出身。あまりにも早口で時々ついていけない。
・E2(ソプラノ・5年目)
浮き沈みが激しいが才能豊か。天真爛漫でオペラにはピッタリ。
・J(ソプラノ・4年目)
ラーメンを愛す。声楽の上達ぶりは目覚ましいが副科の頑張りが足りないらしい。


 フランクの歌曲はどれを取っても地味に天国的に美しく比較的弾き易いので弾きながら溜息がでそう。やや快活で可愛らしい旋律の『ニノン』が特に気に入った。
 兼ねてから気乗りしなさそうな素振りを見せていたJはやはり仕上がりが悪く出演を辞退。後日同じ日に別の教会での演奏会に出演した様子をSNSに投稿して一部から大顰蹙。


 それにしても病気で期間を延長したJ以外は次の夏には全員卒業予定。1年後はどうなっていることやら。