笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

オルデンブルクでフルートの夕べ

 11月3日、元サンタ弟子のフルートのC(台湾)と演奏会。彼女は卒業と同時に教会音楽家のMと結婚してブレーメン近郊のオルデンブルクに住んでいる。私がドイツに来て間もない2002年に初めて湖畔の古城ラインスベルクに伴奏に行って以来の長い付き合いである。

 ご主人Mたっての希望で今年生誕200周年のフランクのソナタ、それに同じベルギーのレイエのソナタ、後はCと私が1曲ずつ好きな曲を選んでフランスっぽいプログラムになった。当初は7月の予定だったがコロナウィルスの感染状況が悪かった為に延期になった。
 オルデンブルクには一昨年の2月29日(!)にコロナの魔の手がドイツに忍び寄り始めた頃に教会でロッシーニの小荘厳ミサ曲を弾いて以来。2年半長かったような短かったような…。今回はあの時の教会付属の講堂で演奏する。


 駅にCが迎えに来てくれて会場に到着すると教会役員のおにーさんが椅子を並べてくれていた。開演までの段取りを話し合った後コーヒーまで出してくれたがCによると、「いつもは無愛想なのよ。」だそうで、機嫌が良くて得しました。
 そして自らフランクのソナタを所望したMですが代理で礼拝に行かなければいけなくなり演奏会には大分遅れることに。フランクの終楽章に間に合うかどうかというところらしい。彼のリクエストなのにー(涙)。
 客席は50席位用意してあったがCは残響減るしあんまりいっぱい来なくてもいいわーと冗談半分に言っていたが、いっぱい来ちゃった。それに良く知ってる人が最前列に座ったら吹きづらいわーとも言っていたが彼女の生徒が最前列に。世の中って…。


 響き悪くなるから帰ってとか気が散るから後ろに座ってとか言うわけにも行かないまま演奏突入。レイエのイ短調ソナタに続きエネスコのカンタービレとプレスト、ペリユーのバラードにフランクのソナタという我(々)ながら美しいプログラム。Cとの共演は彼女の卒業試験以来だから何と19年ぶり!だが音色は当時よりもっとキレイになっていたし歌い方にも説得力が増していた。見た目は全然変わっていないのに音楽はずっとずーっと深くなっていた。でも音階をカデンツァ風に吹く時にちょっと慌てるのは現在だった。
 気持ち良く演奏を終えて上機嫌で2度・3度とお辞儀をしていると通りに面した大きな窓をMが横切って行った。やっぱり間に合わなかった…。思えばMは当時婚約者だったCの卒業演奏会でも悪天候で間に合わず打ち上げだけの参加だった。


 オルデンブルクは愛しのビールの郷イェーファーの近くなので街中でイェーファーが飲める。この日の打ち上げでも一昨年と同じレストランで次から次へと生イェーファーを頂いた。
 是非また呼んで下さいねー打ち上げは是非またここでー!