笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

きのこの里モンソローへ

 7月23日、ソーミュールへ。ここでは2泊する予定。ロワール川沿いには優美な古城が点在しどの街でも美味しいワインが飲めるが、何故2泊するかと言うと1つは我が師匠が定期的に行っているオンラインマズルカ講座に参加する為。時差の関係で開催が午前10時からなのでチェックアウト時間によっては最後まで聞かずに部屋を追い出されることになるし、この日は出発前に提出した私の動画が参考に流されるから気になるし…なのでインターネットの接続も安定しているらしきホテルを予約してあった。

 ホテルは駅の目の前。これなら私でも迷いようがない。受付のおにーさんは今回の旅の中で1番の英語の達人であろう。部屋は明るくて清潔。連泊する時にはソレッとばかりに洗濯をする。


 もう1つの目的はバスでしか行けない隣町モンスローに行くこと。以前テレビで観た『フランス魅惑の街々』で紹介されていたキノコ料理を食べた〜い!あの時案内していたシェフのおっちゃんにも会いた〜い!
 モンスロー行きは明日のマズルカ講座の後でと思っていたが時間が良かったので洗濯後直ぐ行くことにした。早速市街地の方向を間違えて30分ムダに…。ソーミュールの街は駅から川を2度渡って凡そ30分かかるが、2つ目の川を越えた所に聳え立つ古城が見えて来てテンションが上がる。

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 ロワール川を渡ると市街地で、入口直ぐ左側に劇場が建っていてそこから中央通り両側にズラッとレストランが並ぶ。教会の直ぐ側までテラス席が押し寄せ週末だったこともあってかなりの賑わい。夕食をどこにするか思案しながら歩いているとレストラン街はあっという間に尽きモンソロー行きのバス停に着いた。
 今回は色々な町でストリートピアノに出会うがここでもバス停の近くに発見。しかもここでは通行人が自由に弾けるのではなく決まったピアニストが弾くようで、鞄を携えたおにーさんが助手を伴って現れ楽譜を広げて時折り休憩を取りながら弾き続ける。炎天下で大変だ…。


 バス料金用の小銭が無い!ので薬局に駆け込み目薬を買った。薬剤師さんは適度に英語が出来て目標達成したのだがバス停に戻ると来る筈のバスが来ない…。バスに乗らないのにバス停でくつろいでいたおばーさんが何やら気にかけてくれるのだがフランス語のみ。私も「ふらんす語分カリマセン。」だけは言えるつもりなのだが構わずフランス語で教えてくれる。今着いた別のバスの運転手さんに訊いたり停車中のバスの行き先を見たり遂にモンソロー行きのバスが来るまで待ってバスに乗った私を見届けて満足そうに帰って行った。おばーさん感謝してます!!
 運転手さんは英語が私よりずっとずーっと上手でスンナリモンソローに到着。さぁてキノコ博物館兼レストランは?と思って携帯ナビを見るとソーミュールまで戻って対岸に渡って徒歩11時間かかるとぬかしやがる!!バカな!今お店の案内板を通り過ぎて来たばかりなのに!

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 生きて行くのがイヤになった…。


 道順調べてから行けって?悪かったわね。でも駐車場から階段を登って行ったら難なく到着したもんねー。今まで生きてた中で1番携帯ナビへの不信感が募りました。兎に角テレビで観たキノコ博物館に着いたのです。
 受付のおねーさんも英語の達人。やはり外国からの訪問者も多いようです。でも私の携帯電話の電波が悪く英語の案内をダウンロード出来ません。
 おねーさんが言いました。
「印刷されたヴァージョンは残念ながらフランス語とドイツ語しか無いんですよね…。」


 なにっ!ドイツ語!?英語よりずっとずーっとマシです!


 かくしてめでたくドイツ語の案内書を手に入れた私でしたがキノコ博物館内は暗くて全然読めやしなかったので記念品として家に持ち帰りました。でも同時に涼しかったのでゆーっくり時間をかけて閉館ギリギリまで鑑賞しました。

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 売店でシイタケムースやらカレーシャンピニオンやら買い込んで明日食事に来るつもりでバス停に戻ったらまたバスが来ない…。乗りたかったバスは土曜日には予約をしなければ走らないバスだったようです。この数十分でかなり日焼けしたと思います。
 バスが無ければタクシーか徒歩かヒッチハイクしかソーミュールに帰る方法は有りません。最も理性的な方法を選びキノコ屋さんに舞い戻ります。但し今度は博物館ではなく別の入口。レストランに入ってウェイトレスのおねーさんに食事をした後にタクシーを呼んでもらうことが出来るかどうか訊きます。
 おねーさん大慌て。「あっあたしの英語はヤバくてッ!多分出来ますけど同僚を呼んで来ますッ!」と台所に引っ込んで行きました。しばーらくして未だ男らしさが確立され切っていないほど若々しいおにーちゃんが応対してくれました。問題は無いと思いますが最終手段はお店が終わるまで待って頂けたらパニックおねーさんがソーミュールに住んでいるので彼女に送ってもらえますよ!とのこと。


 安心してキノコを食べられます!


 先ずはキノコのガスパッチョ(冷製スープ)を。

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 おいしー(涙)!

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 勿論土地のワインと共に。

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 そしてこちらのオリジナルであるガリペットを。5種類の内今日頼んだのはクラシック・サーモン・玉ねぎの3種(定かではナシ)。一口頂く度にうるうるしました。


 博物館内同様に店内も涼しく冷えたワインと共に正に至福の時を過ごしました(遠いまなこ)。
 残念だったのはシェフのおっちゃんに会えなかったこと。人気店でしかも週末でテラスにも大勢のお客様がいてパニックねーさんも若者も休む暇無く駆け回る間を縫って私に、「直ぐに伺いますねッ!」との言葉を残しては消え去っていたので、おっちゃんも台所ではマスクを外す暇も無くオーブンを開けたり閉めたりしていたことだろう。
 若者が、「タクシーが着きましたよ〜!」と教えてくれて1日は終わり。ロワール川沿いを走った夜景は幻想的でした。