笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

お訣れの会

 4月20日、大家さんのお訣れの会がありました。友人のみなさんのスピーチと私達の演奏とが交互に並ぶ構成でヘタクソに弾くと飾られた大家さんの笑顔の写真が泣顔になるといけないのでちょっと緊張します。

 一緒に演奏したのは私の前に住んでいて引っ越した後もずっと仲の良かったリコーダーの尼さん(台湾)と、その前の前に住んでいて我が校のジャズトロンボーンの教授の渋いオヤジD(アメリカ)。
 私が弾いたのはフランスの女流作曲家ボニの舟歌。大家さん夫婦が本当は一昨年の夏に銀婚式記念に行く予定だったロワール川の舟旅を思って選曲しました。滑らかな旋律が感傷的なハーモニーに乗せられた美しい小品です。かわいいおじいちゃんだった大家さんのことを考えながら弾くと緊張は消えました。
 渋いオヤジはジャズのスタンダード“Time after time“を厳かに淡々と吹きました(演奏も渋かった…)。尼さんはヘンデルの“私を泣かせて“の素朴な旋律を一音ずつ丁寧に繋ぎました。大家さんも満足したに違いありません。


 友人のみなさんのスピーチを聞いていると(ドイツ語全然分からないけど)大家さんは若い頃どうやら相当面白い人だったらしい。もっと若かりし頃の武勇伝を聞いておけば良かったッ!
 大家さんは2度目の結婚で、会の最後は奥様の連れ子だった息子さんのスピーチでしたが最初から最後まで泣きっぱなしで言葉になりませんでした。


 会を終えて飾られた大家さんの写真を見ると相変わらずこれぞかわいいおじいちゃん!という笑顔でした。どうやら喜んでもらえたようです。