笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

子供の謝肉祭

 ファゴットの犬顔M(ドイツ)といえば懐かしの名前。ハンブルク音大に於いては私よりも先輩である。が、パッパラパーな言動の数々で我々のおもちゃ的存在だった。なんといっても名台詞、「僕の両親も僕のような素晴らしい息子が生まれたことを幸せに思っているでしょう。」
がある。
 学生時代からの彼女N(ドイツ)と結婚して今では2児の父。今回の主役はNの方。
 Nも同時期にハンブルク音大で勉強していたリコーダー奏者だが作曲家でもあると知ったのは大分経ってからだった。今回彼女のピアノ小品集『子供の謝肉祭』の演奏を頼まれた。後でファゴットとピアノの為の『5つの動物舞曲』も追加で頼まれた。共演は当然犬顔M。何年ぶりの共演になるだろう。
 『子供の謝肉祭』はパーティーで様々に仮装した子供達を描写したもので全6曲から成る。出版された楽譜には、「若者コンクール等で弾いてもらえたら嬉しいです。」と作曲者の言葉が載せられているが、高速の連続オクターヴや5連符対4連符などが有りちょっと若者コンクールには難し過ぎるのではなかろうか…。それどころか私にだって難しくて中々上手く弾けるようにならない…。
 幸い(?)録音技術者の都合が悪かったりして3ヶ月程録画が延期になるうちにマシに弾けるようになって暗譜も出来た。1度学校で合わせた時には久々に会った犬顔Mの髪の減り方に僅かに驚いたが彼も私の増量ぶりに驚いたに違いない。久々に聴いた彼の音色は相変わらずキレイだったがそれ以上に息継ぎの時などの動きが以前のままで何故かそちらの方が懐かしかった。


 4月26日に隣町リューネブルク(街は素敵ッ!素敵ですッ!是非行ってッ!)までいざ録画に。寝坊しなかった地点で一安心。犬顔Mが指導している音楽学校の新しいホールが会場だが…

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新しい…美しい…ピアノも新しい。そしてマイクもカメラもいっぱいでかなり本格的。


 スーツを持って行ったが犬顔Mは着替えないと言うので動物舞曲は平服で。登場するのはライオン・兎・象・モグラ・熊蜂で残念ながら犬はナシ。熊蜂の輪舞がワイルド過ぎてスズメバチの輪舞にならないように気をつけねばなりません。
 『子供の謝肉祭』では音階が不規則なスラーで連続オクターヴで出て来る第1曲『ワイルドな泥棒』と、同じ音型が違う調でもっと速く弾かないといけない第3曲『賢い警官』(多分第1曲の泥棒を捕まえるのであろう)が難しい!絶対子供には無理(であって欲しい)。NGを出しまくり生きて行くのがイヤになった。折角だからこちらはスーツを着て弾いた。泥棒にも第5曲のシャドウパンサーにも合うし。


 昼過ぎには終了して早くもビールをガブガブ頂いた。Nとは本当に久々だったので懐かしの学友達の話に花が咲いた。
 という訳で今公開されるのを待っているところ。その暁には犬顔ならぬ父顔Mをご覧いただけるでしょう。