笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

ブレーメンに頼られる

 3月以降、ブレーメン・フィルから度々オーディションでの伴奏のお仕事を頂く。

 3月にはコントラバスオーボエ。6月にヴァイオリン。今月は1日にファゴット・チェロ・ヴィオラの3本立て。行く度にブレーメン在住の友人達と宴会するので毎回喜んで引き受けます。
 ただ気になるのは前回まで私が弾いた3回のオーディションで誰も合格していないこと。もしや私は疫病神?それにしてもヴァイオリンの時にはハンブルクの学生が揃って最終審査まで進んでびっくり(勝手にそんな実力者いないと思ってた)。


 7月4日、朝新築の練習場に迷わず到着。これだけでも方向音痴の私にとっては今回の伴奏の半分は成功なのだが受付でお待ちのファゴッティストの日本人女性にもものすごく安心された。ハンブルクからの電車が止まって受験者から大幅に遅刻すると連絡が有ったそうだ。宴会目的とはいえ昨日来ておいて良かったッ!それにしてもドイツ鉄道の為体(これでていたらくと読むの?)と来たら…。


 ファゴット部門開始。8人参加。中々良い人も何人かいたが全員を納得させるには至らなかったらしく、ハンブルクからの受験者が来るまでコーヒー飲もっか!と最近買ったらしい機械でコーヒーをご馳走になった。
 ソロ・ファゴッティストのDさんはずっとず〜っと昔犬顔Mのレッスンでお世話になった人。痩せて眼鏡をして髪が灰色になったが、私も横に広がったので彼も暫くしてからやっと気が付いたらしい。
 コーヒーを飲んでいたら9人目がようやくハンブルクから、「もう終わっちゃいましたよね…?」と到着。何とウチの大学の卒業生Jだった。ファゴットグループは大丈夫大丈夫!ちょっとウォームアップしたら始めよう!と彼の演奏を聴くことに。
 Jのヤツ見た目とは裏腹に隅々まで丁寧に拭きよるわいとか思ってたら、後で聞いたところによると彼が受かったらしい。電車が止まった時にはヒヤヒヤしただろうがめでたし!私の疫病神疑惑も晴れた。


 昼過ぎにチェロ部門。数ヶ月限定の席らしく1次審査のハイドンの後で惜しげもなく打ち切られた…。


 夕方がヴィオラ。このオーケストラの首席ヴィオリストは我が校のF教授で、教授試験では彼の演奏・レッスン共私が伴奏して彼が選ばれた。偶然だがちょっと良い気分。
 2日前にF教授から留守番電話のメッセージが有って、オーディションを受ける自分の学生2人と1度合わせてやってくれないかということだった。少々考えたがまぁ本人から直々のお願いだし!と直前合わせを引き受けた。
 参加するのは2人共韓国の女性で演奏もなかなかのもの。ウチのヴィオラには実力者がいないと勝手に思い込んでいたので驚いた。
 オーディションの前にF教授を含むヴィオラグループの皆さんと打ち合わせるが、仕切っているおばさんが何だか偽善者っぽい。楽譜はお持ち?と訊くからiPadに入っていますと答えたらイヤな顔をした。コントラバスファゴットもオケの方が用意して下さったんですがね。
 参加者数を忘れたが例のおばさん割と気に入らない人はあからさまにたった数段で、「もう結構よ。」と止める。オーディションに人情は要らないとは言え、おまけに笑顔が一層感じ悪い。
 我が校の1人を含む2人が2次・3次と進んだもののやはり合格者なしだったそう。オーディションで伴奏する度にピアニストで良かったッ!と思わせる厳しい世界です…。