笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

シビウでリシャール=アムランを聴く。

 9月4日、ミュンヘン経由でルーマニアのシビウへ。10年前のブカレストの印象が悪く次回は直接他の街へ…という願いがやっと実現した。トランシルヴァニアの古都シビウは昔応援していた体操選手の出身地でもありずっと行ってみたかった街。 ブカレストでは降機後直ぐにインチキタクシーに引っかかった(途中で撃退成功)がシビウ空港には幸いそんなものはなく、少しドイツ語の分かる正式タクシーの運転手さんにルーマニアビールについて教わりながらアパートに向かった。アパートのオーナーは超親切なおにーさんで、私の英語よりちょっとマシ位のドイツ語(彼もこれなら僕のドイツ語の方がと思ったのだろう)で近所の美味しいレストランまで勧めてくれた。アパートは広〜くてこれまた1週間住みたいと思った。

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 その日はお勧めレストランに行って終わり。

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凄く美味しかったッ!民族音楽も聴けます。店員さんも民族衣装です。

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名物蒸留酒イカ。お酒自体は只の透明な液体なので器を見せたかっただけです。

 

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 翌日演奏会まで町中を歩き回る。

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大広場。

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時計塔。

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時計塔に登りました。

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小広場。

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橋上で嘘をつくと崩れ落ちるという『嘘つき橋』。

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初めて見たッ!牛乳の自販機。

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会場のタリアホール。


 曲目はドビュッシー「忘れられた映像」、ラフマニノフ「幻想小品集」、エネスコ「組曲第1番」、プロコフィエフソナタ第4番」という演奏される機会の比較的少ない作品が並ぶ。特にプロコフィエフは去年オーストリアで会った時に、「是非弾きた〜い!」と言っていたので楽しみ。

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ピアノはスタインウェイ


 演奏に先立って司会者の女性が長々とルーマニア語でご挨拶。当然ひとッつもわからん。どうやら何処から来ましたか〜?まぁそんな遠くから!的な内容らしくハンブルクから!と大声で叫びたかった。
 方々で携帯が鳴ったり演奏中に水を飲んだりと聴衆のマナーはイマイチであった…。


 ドビュッシーは2週間前にスイスで聴いた時よりも更に良くコントロールされていて、終曲では大胆な盛り上がりを見せた。
 ラフマニノフは滑らかで美しい『悲歌』、厳粛で知性的な『前奏曲』も良かったが民族的でユーモラスな『セレナーデ』が特に気に入った(要するに殆ど全部)。ラフマニノフも初期には美しい曲を作っていたんだな(生意気)…。
 エネスコの組曲第1番は正にバロック様式で書かれ、『G線上のアリア』をやや感傷的にしたような緩徐楽章が淡々切々として心に沁みた。全体にバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタを思わせる構成だった。
 プロコフィエフは爽やかで色彩感があった。第1楽章の結尾部が美しく、リシャール=アムラン自身が特に好きだと言っていた第2楽章も丁寧で綺麗だった。
 アンコールでは彼の口から「ショパン」と紹介されるとお客さん既に歓喜。アンダンテ・スピアナードを弾いた後再登場し一瞬ニヤリと微笑みを浮かべてからその続きのポロネーズを開始。結局この大曲を全部演奏した。スイスでの演奏が気に入っていたのでラッキー!
 終演後間も無くロビーでサイン会が始まったので私も列に並び(話したいからわざと最後方)ミュンヘンで買って来たビールを進呈。何度も会って話しているのに実はサインをもらったことがないからどうせならプログラムにサインしてもらえば良かったッ!
 「ブカレストに来てくれるのかな〜と思ってた。」
-こっちの方が街がキレイかと思って…お客さんどうだった?
「う〜ん…ブカレストの方がもしかすると演奏会に慣れているかもね。」
-エネスコの緩徐楽章いいね〜!
「キレイでしょ!終楽章はいまいち…。」
-でも演奏は凄く良かったッ!
 プロコフィエフは未だ舞台に載せて日が浅いそうで、次第にショパンソナタで聴かせたクマ度数が増して行くかも知れません。


 夕べの愛しのレストラン(もう愛しくなった)は満員で泣きながら他を探す。ルーマニア対スペインのサッカーの試合を観ながらツイカ2杯も飲んじゃった。

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 翌日出発。がーん今日からビール祭りだってーもう1日いたいー。

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 シビウ空港まで1時間もかからなさそうだったので歩いた。搭乗口にバスが待機していたが飛行機は直ぐそこに停まっている…結局20メートル位ぶぶぶと走って停車したら乗客が笑い出した。しかもバスに乗り遅れた人は徒歩で飛行機までやって来て更に笑った。
 ささっと気軽に行って来た憧れの街シビウ。また是非!