笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

オーボエの昼と夜

 ハラハラしながらも1月29日のAとKの卒業演奏会を迎えることが出来た。2人共人数限定だが観客動員が許可された。

 午前中に演奏(学生時代の私なら不可能だったが数十年かけて少々変わりました)したAは4年の内に何と2度も交換留学制度でウィーンで学んだ(計2年)上に最初の1年は学生と一緒に演奏していたので殆ど思い出が無い。有るのは2年位前の学内演奏会の直前のレッスンで古典派の曲なのにテンポは不安定だし何度も数え間違えるしで誉め殺し先生が頭を抱えてしまったことくらい(本番はだいぶマシに吹いた)。
 今回一緒に弾くのはプーランクソナタ1曲だけだがあの時の曲よりも拍子が複雑だから密かに心配していたが、Aはちゃんとしっかり準備していたようで数え間違いも殆ど無かった。演奏会も上出来で誉め殺し先生も喜び、「ウィーンで頑張ったのね!」を連発。
 …しかしそれで良いのだろうか。


 Kは普通に夕方の演奏。入学したと思ったら1学期でコロナ期に突入してしまったので本人としてはかなり損をした気分ではなかろうか。ファーレンドルフの教会での演奏会も1度中止になってしまったしKは数ヶ月前にエッセンのオーケストラの研修生のオーディションに合格して今はエッセンに住んでいるので、個人的にも彼女との思い出は少ない。
 一緒に弾いたのはドラティの協奏的二重奏曲とヘルツォーゲンベルクのホルンとのトリオ。
 ドラティオーボエ奏者にはお馴染みで私も何度も弾いたが、誉め殺し先生は誰かが演奏する度に、「私この曲良く知らないのよ。」と呟く。少なくとも4回は聞いた。その名の通りピアノとの絡みが複雑で過去に何度も共演者がミニパニックに陥った曲だが、Kは譜読みが正確で今回は楽だった…。
 ホルンのヨハンネス君(何故か本名)もフレンスブルクのオーケストラで吹いているので2人の都合が合った日に集中的に合わせをして仕上がりは上々だったのだが、ヨハンネス君この数日不調らしく緊張気味。
 でも流石はプロのオーケストラで吹く2人。良い演奏をしました。チェンバリストと演奏したバッハはいつもよりかなり速くて落武者先生はドキドキしながら聴いたらしいですが。


 この数ヶ月で3人の実力派ドイツ娘が相次いで卒業しました。何れも落武者弟子で先生もさぞ淋しかろうと思いきや彼はかな〜り年下の彼女と幸せいっぱいの様子。生き生きしているのに年齢は関係ないなぁと改めて思い直しております。