笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

徒歩越境2018

7月26日、ハンガリーのナジカニジャ(面白い名前)を出発して国境の街バルチへ向かう。そこからバスで国境を越えられるという情報も有ったが信用出来ない。もし無かったら4年前に続いて徒歩越境になる。
バルチ駅の切符売り場の女性はマジャール語しか話さなかったが、クロアチアへのバス?無いと思います・・・と言った。
・・・やっぱり。
ぢゃあ歩きます!と右手の人差し指と中指をトコトコさせて決意表明をしたら彼女も指をトコトコさせて何やら言った。多分、「頑張ってね!」だろう。
バルチの駅から国境までは2km位の筈。4年前よりは楽だろう。あの時のハンガリー側の国境の街ドラヴァサボルチ同様広い庭付きの家が並んでいたが私に吠えたてた犬は2匹だけ。この点でも楽だ。
携帯ナビに従って進むと予定通りに国境に到着した。今回は英語を話す女性の警察官が2人。手続きを終えて1人が
、「ハンガリーはキレイでしょ!」と朗らかに言った。
4年前と同じようにドラヴァ川に架かる橋の真ん中で少々感慨に耽る。今日も晴天で良い景色。
クロアチア側ではおっちゃんがテキパキと審査。「スーツケースの中を見せて下さい。」と言うので開けて中を見せながら、「これらは衣服でそれから・・・」と説明しようとすると・・・
「はい、オッケーです。」と終わらせてしまった。今年は服の下のビールやワインを披露出来ず何故か残念。
前回はビール・・・ビール・・・と呪文を唱えながら4km歩いたのに対し国境を越えて直ぐの所に飲み屋が!てもビールはもう少し苦労してからでしょ~と思って歩き続ける。教会や民家も現れ、前回に比べて簡単過ぎる、これで良いのだろうかと思いながらバス停を探した。今日泊まるヴィロヴィティツァまではあと12km程である。
・・・良くなかった。
バス停らしきものは直ぐに出現したものの時刻表ナシ。待っている人ゼロ。ここに座って当てもなく待ち続けるかそれとも12km歩くか・・・
歩こう!あの時だって合計7kmは歩いたんだ。その倍よりは短いんだし何とかなる!と自分の中の楽天性を総動員して歩くことにした。きっと成し遂げた時のビールは必要以上に美味く感じるだろう。
スーツケースをガラガラーガラガラーと転がしながら広々とした家々を一軒ずつ通り過ぎて行くと30分もしないうちに(せいぜい2km程度しか歩いていない)或る家の庭から、「ヘーイ!ヘーイ!」と誰かが大声で呼ぶのが聞こえる。周りに誰もいないところをみれば私を呼んでいるのか?おっちゃんが門まで歩いて来て初め英語で、直ぐにドイツ語に切り替えて何処に行くのかと訊く。彼の後ろでは友人らしき人が7、8人でテーブルを囲んでいる。
「今日は僕の奥さんの誕生日なんだ。一緒に飲もうぜっ!」
え~そんな~見ず知らずの人の誘いをフラフラ受けるなんて~そんな~と思いつつもビールの誘惑に非常に弱い私。門にスーツケースを通してあっさりと皆さんの中に座る。冷たい(何故か)ドイツビールと焼いた羊をたんまりと頂いた。幸せ・・・。それにしてもクロアチアのしかもハンガリー国境の小さな街なのになんでドイツ語の出来る人が3人も4人もいるの!?おまけに友人の1人がヴィロヴィティツァまで車で送ってくれるって!!
ウィーンのラオホビールを献上して帽子を交換して住所も書いてもらった。絵葉書出さなきゃ。
お呼ばれで羊を頂き過ぎた為ヴィロヴィティツァ訪問の第1目標であったレストラン、『スラヴォンスカ・
クチャ(愛しのオシイェクレストランと同じ名前)』へ行くのを辞めた(本末転倒)・・・楽しくて美味しかったからいいもん。

ハンガリーからクロアチアへこれで2度目の徒歩による入国。いっそ後4つか5つ有る審査場制覇しようかななどと思っています。