笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

Max Reger Dunkel !!!

 夏休み前最後の演奏会の翌々日ソレッとばかりに旅行に出発。今年はどどーんと3週間(ちょっと長過ぎたかも…)。7月19日に今年もまたさあクーナを下ろしましょうさんとオシイェクで合流することが決まっており、基本的に列車移動の私は寄り道をいっぱいしたくて出発が早まるのです。


 今年の最初の滞在地はバイエルン州北部のヴァイデン。3年ぶり3度目。作曲家レーガーの青春の地ですが知り合いに教えてもらった「レーガー黒ビール」を今年こそ手に入れるのです!
 夏休みらしくライプツィヒからミュンヘン行きのローカル線が大混雑!ヴァイデンは大きな都市ではありませんから無事下車出来るかどうか心配でしたが、階段に誰かが立てかけた自転車(非常に迷惑)を他のお客さん達と共にスーツケースを持ち上げながら跨いでヒイヒイ言いながら降りました…。

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 買えると思ったレストランでレーガー黒ビールは有りますかと訊くとあっさり、「無いよ!」と言われました(涙)。が、お店のご主人が丁度ピザを買いに来ていた近くのバーの大将に、「お前の所レーガー黒置いてるか?」と質問。大将は、「わかんねえ。有るかも知れねえ。」ということで彼の店までくっついて行くことになった。道中いったいどうしてヴァイデンに?とかピアノはいいね!とか1度日本に行ったぞ!とか話しながら店に到着。ドアを開けて直ぐさまバイトっぽい女性にウチの店レーガー黒有るかと訊くと即座に、「有りません!」だそうです(涙)。でも大将、さっきのレストランのもう少し先が醸造所だからそこで明日の朝には買えるぞ!と教えてくれて、頑張れよと握手までしてもらいました。
 こりゃ行かなきゃ、と翌朝チェコへ移動する前にホテルからは決して近くない醸造所へ。しかしこれはただの工場…いったい入口何処?売店なんか有るの?去年さあクーナを下ろしましょうさんに連れて行ってもらったオシイェクの工場よりもさらに一般客向け度数が低い。
 立入禁止と書いていないドアが1つだけ有ったのでどう見ても事務所のそこで机の前に座っているおじさまにビールは何処で買えますかと訊くと、その質問が終わるか終わらないかのうちにすんなりと、「ここです。」と答えられた。でもこんな卸売市場みたいな所で瓶ビール2本だけとか言ったら顰蹙ではなかろうかと思い、「あっあのレーガー黒ビールを何本か欲しいだけなんです…。」と言うとおじさまはケースごとのビールを忙しく運びまくっているおにーさんを呼び止めて、「この方にビールを。」と紹介して下さった。おにーさんにくっついて倉庫に入ると、有りました!フレンドリーとは言えないレーガーの肖像画が貼り付けられた瓶が並んだケースが。おにーさんに、「何本ですか?」と訊かれ当初の予定よりも1本増やし、「さっ…さんぼんッ(ショボいショボ〜い感謝の印のつもり)!」と言うと快くケースから取り出してくれました。値段を訊くとおにーさん、「ん〜ん、ちょっと待って!あっちで訊くから。」と直々におじさまに訊いてくれたのですが…


「1.9ユーロです。」


 …へっ!?
 安過ぎない?
 あっあのっ1本ですか?それとも全部で?


 全部でだった…とすると1本あたり0.63333ユーロ。一体何故?何はともあれ念願のビールを遂に入手。会計中に既に仕事に戻っていたおにーさんにも大声でお礼を言って次なる目的地へ出発しました。

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レーガーって伊東四朗さんに似ていると思うんですが…。

 いろんな方に親切にして頂いたし是非とも良〜っく冷やしで飲まなきゃと思ったので、旅の最中にはなかなかチャンスが有りませんでした(訪問先が全てビールの名産地ばかりで宿に帰る時には既に酔っ払っているから)が、数日後とうとう飲んだレーガー黒ビールは滑らかで濃くほんのりと甘く、レーガーの後期の作品を思い起こさせました(遠い目)。今回ドナウ川にもお目にかかったし秋の演奏会ではレーガーの、『美しく青きドナウ』による即興曲でも弾いちゃおうかな〜といい加減に考えました。


 おっと、ヴァイデンだけで長くなってしまった。続きは次回。