笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

丸髭先生ようこそハンブルクへ!

 腹話術人形(フルート・ブラジル)の企画する彼の勤務先の音楽院(腹話術学院)での講習会にイギリスから丸髭先生が初めておいでになった。
 ハンブルクの我々の期待を高めたのはその素晴らしいお髭。

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 講師演奏会での曲目は、
・萎める花による変奏曲(シューベルト)
・海辺にて(シューベルトベーム)
スコットランド幻想曲(ベーム)
カサンドラの夢(ファーニュホウ)
・哀歌(日本民謡/丸髭)
・ズームチューブ(クラーク)
・ヴォカリーズ(メシアン)
・青春の日は遠く過ぎ去り(チャイコフスキー/ブラウンシュタイン)
・リノスの歌(ジョリヴェ)
ファーニュホウとクラークは無伴奏シューベルトとジョリヴェは何百回も弾いたしベームは春に弾いたド派手なやつでしょーチャイコフスキーは数年前に仏様と一緒に弾いたしメシアンと丸髭先生ご自身編曲の日本民謡の楽譜だけ送ってもらえば楽勝!


 しかし・・・


 腹話術人形がわぞわざ縮小までして送ってくれた楽譜はメシアンの超有名曲「黒つぐみ」だった・・・その曲私30年前から知ってます・・・。
 ベームは作品番号を良く見たら春に弾いたのとは違う超マイナー作品だったし、チャイコフスキーは権利の問題で既に絶版になった別の編曲者による物と判明・・・。
 なんでフルートの曲ならブーレーズソナチネ以外は殆ど弾ける私の知らない曲ばっかり選ぶのー(号泣)?腹話術人形が急いで全ての楽譜を準備してくれて到着した実家で印刷して踊るピンクベアさんとの演奏会が終わったら慌てて練習を始めて東京に移動する時にそれらの楽譜をぜーんぶ実家に忘れた(底抜けのバカ)・・・。
 結局ハンブルクに戻ってから印刷し直し大慌てで練習する。丸髭先生到着まであと3日しかない(涙)・・・。


 講習会前日のリハーサルにて初対面。がーん髭がくるりんぢゃない!!!重力に従ってフツーに箒のようになっている(再び号泣)。
 翌日腹話術学院にて開講。受付の腹話術人形の奥様(ペルー)に昨日のリハーサルはどうだった?と訊かれリハーサル内容をさておき髭にがっかりしたと答えたら彼女も、「あたしもよ、あたしも・・・。」といきなりテンションが下がった。


 腹話術人形のキャラクターの成せる業か腹話術学院に招待される講師の皆さんは1組2人を除いて面白くて性格の良い人。踊って歌って楽しく分かり易いレッスンでパワーが夜まで衰えない。或る参加者は15分間の基礎練習の後音が別人のように良くなった。
 演奏会には丸髭とまではいかないまでも半円髭位に整えて登場し私や腹話術人形夫人を少しだけ喜ばせた。中高音域のmpからmf辺り(要するに最も使われる音域の最も使われる音量)がもの凄くキレイで楽しく共演しました。最終日の昼食にサンタ先生とその友人が乱入して今は亡き名指揮者ヴァントの話をベラベラ〜ベラベラ〜と続けたら僅かの隙を見つけて、「君はヴァントさんを知ってる?」と私に水を向ける気配りもお有りでした。
 是非腹話術学院のレギュラーになって毎年ハンブルクに来て頂きたいです。