笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

批評家殿。

 1月29日、具合先生クラス演奏会。
 ウチの学校行事には何人かの常連さんがいて、中には一癖も二癖も有りそうな人も。中でも有名なのは「買い物おばさん」。いつも両手に買い物袋を提げ、最前列の真ん中辺に座り、先生や演奏者が何かコメントするのを遮って全く関係無い質問を彼らにする(例:「何処の国から来たの?」)というちょっと迷惑な人。
 もう1人は「批評家」。やはり最前列の中央部に陣取り演奏者の目前でiPadにひっきりなしに何やら書き込んでいる。単純に感じ悪い。「貴方のオペラ評論家」と題したホームページに自宅で鑑賞したCDやDVD、聴きに行った演奏会の批評を載せていて、その数の膨大たるやこの人は一体どういう生活をしているのかと訝しく思う程である。我が校の行事にも足しげく通い(特に声楽とヴァイオリンが好きらしい)学生相手に手厳しい意見を述べているつもりらしいが多くが的外れ。更に間違った情報の多さ!糸を紡ぐグレートヒェンがシューマン作曲だったりパミーナ王女がメゾソプラノだったり…。語彙も少なく、「表情豊か」や「感銘を受けた」は1つの記事に5回も6回も現れる。
 でももっと滑稽なのは、そんな低級批評にも関わらずみんながそれを気にしている事!!!弁護士を通して訴えた学生もいた程。この日の学内演奏会ではベビーフェイス改めベビー(テノール・オランダ)がバッハのアリアを半音低い古楽音程で歌った為後奏で間違って近代音楽になってしまったらベビーが、「急に半音下げてとお願いしたので、間違ったのは僕の責任なんです!」と批評家に言おうとしたから慌てて止めたッ!学生がみんな一緒に弾きたくない伴奏おぢさんをも褒める人にどんなに貶されようと痛くも痒くもない。
 打ち上げではやっっっぱり批評家さんが話題になり、主題を変える事に尽力しました…。