笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

ダルムシュタットにて、その1。

 バレエダンサー先生の講習会を無事終え翌日喜び勇んでダルムシュタットへ。イチオシピアニストのリシャール ・アムラン氏がカナダから2年ぶりにヨーロッパへやって来るのです!去年はヨーロッパでの全ての演奏会が中止になって涙をゴクゴク飲んで1年我慢したのでした…。

 講習会に先駆けて行われたリサイタルは全曲ショパンの作品によるプログラム。遺作の夜想曲即興曲第1番、バラード第1番にアンダンテ・スピアナードと華麗なる大ポロネーズ。どれも何度か聴いた曲だがこの人は聴く度に新しい発見があって面白い。ルバート少なめの淡々とした夜想曲に始まったが、この時はまだ数週間後にルバートのない箇所が殆どない演奏を次から次へと聴くことになるとは予想していなかった…。
 続く即興曲は3分程度の小品だが、開放的で可愛らしく印象に残った。最前列に陣取った招待者の女性が大拍手。或いは彼女のリクエスト曲であったろうか。バラードでは休符の美しさが新鮮で、ポロネーズはいつもながらのキャラクターの多様性と踊りのリズムの一貫性が際立っていた。
 後半は24の前奏曲。オンラインでは昨年アメリカでの演奏会をコンピューターの前に正座して聴いたが生で聴くのは初めて。1曲毎に新しい人物が登場するようでわくわくするが、第2・13・23番等の比較的取り留めのないもののキャラクターが際立って聴こえた。全24曲中演奏時間が最も長い第13番はもっと長く聴いていたかったし1番好きな第17番はもっと好きになった。
 アンコールは2曲。渋く渋くシューマンの後期の幻想曲とラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」。このパヴァーヌが余計なことを一切せずただひたすらに旋律を奏で続けたのだが…主催のショパン協会が動画を公開したのでご覧下さい(実は私も客席にいます)。

https://youtu.be/mZzwd0x9WfM