笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

今年の入試

 入学試験は歌とフルートだけ。動画審査を通過した人ばかりなのでそれなりの実力者が揃い、勘違い受験生はいなかった。ちょっとがっかり(イヤなヤツ)。

 それでも1つ面白いことが!韓国から来たテノールの受験生は必ず1曲は用意する規定のバッハの作品をプログラムに入れていなかった為、歌い終わって教授陣がどんなに簡単でも良いからバッハの曲を何か急いで練習して午後3時にもう1度ここに来て歌って下さいと提案。レパートリー指導のフレンドリーなおじさま(イギリス)が丁度手元に1ページの曲を持っていたので歌手は慌てて練習室へ。
 前受験生が歌い終えて先程の歌手が戻って来た。さて、どうなるでしょうか。
 わりとちゃんと歌って先生達も労いの言葉をかけた。すると彼はまだあまり勉強していないドイツ語で、
「バッハの為に私の電車の切符を諦めました。お金が空に飛んで行きました。」
…すると土偶先生が空かさず、
「空はとってもステキな場所じゃない!」
と慰めの言葉を…。彼は、
「なので絶対ここに受からなくてはいけません。」
 普段こういうことを言う受験生は不愉快なのだが今回ばかりは共感したのでありました。そしてその甲斐有ってどうやら合格したらしいです。


 フルートはドアマン・ジャイアン両氏のクラスに空きが少なく次々現れる優秀な受験生達に頭を悩ますという異例の事態となったです。


 オーボエの落武者・誉め殺し両氏は対面の試験を行わず動画のみで決定した模様。来学期はどんな新入生が来るのでしょうか。