笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

故郷にて

 9月25日、声楽のT先生とその弟子達による演奏会にて共演。T先生は大学の大先輩で20年以上前に1度歌を聴く機会が有ったものの共演は初めて。お弟子さん達は私よりも若く私にとっては皆さん初顔合わせ。

 最初はT先生お1人だと思っていた。去年の冬にお会いした時には春にフランスを歩いて巡礼する予定と伺っており、曲目もフォーレラヴェルのフランス歌曲を歌いたいと仰っていた。
 …後日足を骨折して巡礼を諦めたとお知らせがあった。それに伴って練習が思うように出来ない時期が続いたのでフランス物も見送って今回は歌い慣れたシューベルトシュトラウスにします、と。
 以降、
「昔の生徒のSさんも参加することになりました。」
テノールのTさんも…」
「ロシアで勉強したOさんも…」
と当初の予定とは大分感じが変わって来たが、私には相変わらずソロを20分程弾いて下さいという点は変わらず。後から後から天才少女の新曲だの合唱の初見伴奏だの増やしに増やして私のソロを飛ばしやがったどこかのパーティーのようにはならなかった(当然ぢゃ)。
 曲目も独墺伊露とカラフルになり一体1人で何を弾けばいいのー(涙)となったが当初の予定ではプログラムの大半を飾る予定だったフランス物が何とゼロ!になったので、可哀想だからフランスの作品を弾いてやることにしました(バカ)。生誕150周年のセヴラックのこの上なく美し〜い小品と、没後30周年のメシアンの最高に美し〜い作品を選びましたがどちらもいつまで経っても暗譜が出来なかった…。


 チラシが出来上がって来たら演奏会のタイトルが『世界的歌姫AGがつないだアーティストたち』となっている。AG女史はT先生のドイツの師匠で、私は彼女の歌は聴いたことがあるもののお話ししたことはないのですみませんがお邪魔しますといった感じ。リハーサルには沢山時間を確保して下さったもののどの曲もスンナリと進みストレスの少ない演奏会でした。ロシアで勉強したOさんは紛争の最中にラフマニノフの歌曲を歌うことを一時は戸惑ったようですが、彼の地への思いを胸に素晴らしい歌を聴かせました。他には子供の頃から親しんでいたトスティの歌曲やシューベルトシュトラウスの名作中の名作に地味に素晴らしいメンデルスゾーンの2重唱曲が並びました。プログラムの最後を飾ったメンデルスゾーンの『すずらん』とアンコールの『告別』は未来への希望を謳ったもの。私も弾いていて力が入った。
 小学校でお世話になった懐かしのY先生が来て下さったッ!先生は若白髪だったので40年近く経った今も当時とあまり変わっていなかったッ!
 中学の同期生Kが奥さんとお子さんと来てくれたッ!顔のマスクから出ている部分は3人とも同じだったッ!太ったと言っていたが彼は成人してから痩せた(以前のあだ名はドラえもん)ので中学生の頃とあまり変わっていなかったッ!


 ではこの上なく美しいセヴラックと最高に美しいメシアンとどちらがより美しいかはどうぞこちらでお確かめ下さい。

https://youtu.be/dAvaIhinq60

https://youtu.be/14E05YUGy_M