笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

1日シェフになるの巻

 恐らく人生初のイベント。旧大家さんと尼さん夫婦を食事会にご招待!!!

 …こっこの私が料理して人に食わせる!?手巻き寿司とポテトサラダしかまともに作ったことないのに。でっでも旧大家さんには毎年家庭的聖夜演奏会の後でいっぱいご馳走になったし尼さん(料理得意)家には夏にお呼ばれして凝った料理を沢山頂いたし、いくら失敗の確率が低いからってカレーライスなどでお茶を濁す訳には…などと余計なサービス精神が働く。
 で、考えたのが


・胡瓜の梅肉和え(いくらなんでも失敗しないだろう)
・茶碗蒸し(レンジ有るし!)
・豚汁(味噌汁の人気は国際的なはず)
・深川飯(波平さんが作っていたので見習おうと思って…)
・水羊羹(何回か作ったこと有るし!)


数回の試作(外郎失敗を含む)を経てこれらに決定。失敗したヤツは出さなくてもそれなりの量にはなるだろう。でも深川飯は失敗するとまずい…。それに波平さんにはなぜか負けたくない…。
 学生との合わせの予定も全然入れないで昼過ぎにさっさと家に帰り箱の山を奥の部屋に押し込めたり入口と居間だけ掃除機をかけたりしてあっちを切りこっちを混ぜあれを茹でこれを冷やしていると…


 来ちゃった。みんな揃って。旧大家さんのバウン(犬を意味する伊藤語)・ファニーちゃんも。


 まだひとっつも出来上がってないのにーと慌てて胡瓜を切って梅干と和えて鰹節をかけて出す。梅干は口に合わない人が多いので最初の一品から不安。しかし胡瓜にファニーちゃんが激しく反応。バウンに何をあげて良いか悪いか知らないので慎重にお預け。もしや胡瓜が好物なのでは?
 胡瓜で時間を稼ぎつつそれに続く品々の味を確かめる(不味かったら後で泣きながらぜーんぶ自分で食べる)。


 茶碗蒸し = 試作品よりブツブツ少なし。何とか出せそう。
 豚汁 = 良いみたい(失敗の確率低いけど)。
 深川飯 = ちょっと美味いんぢゃないか!?


 麦茶が旧大家さんの口に合わなかったようで一口で飲むのを辞めたけどあれは私の作品ではないし!胡瓜は美味しいと言ってくれて一安心。これで最低でも1つは食べられる物が出せた(超低次元)。
 茶碗蒸しも豚汁もちゃんと食べてくれている。ほっ。旧大家さんは具に興味を持って蒲鉾を食べてはこれは何?油揚げを食べてはこれは何?と質問された。確かにドイツの家庭では普段お目にかからないであろう。台湾出身の尼さんは日本食にも知識が有りそれは魚ですそれは豆腐ですと私より上手に説明してくれるのだが尼さんのご主人(2代目お坊さん?)は味覚が優れているのかこれは芋から?これは豆から作ったの?となかなか鋭い。ということは彼を満足させるのが1番難しいかも…。
 深川飯も誰も不味いとは言わなかった(波平さんに負けなかったので安堵)。唯一の失敗は水羊羹が葛湯の冷たい版になったこと。寒天が日本の物とはちょっと違うらしい。なのでスプーンで食べてもらったが意外に好評。餡子の甘さは苦手な人も多いのに。次回からもデザートは和菓子で攻めようと思います(出来んのかよ!)。
 お世辞でもなんでもみなさん美味しかったと言ってくれましたッ!旧大家さんなんて貴方がこんなに料理が上手だとは知らなかったと仰いました。そりゃ知るはずないですよ。本当は上手じゃないもの。


 次回は旧大家さんの新居に押しかける予定。ファニーちゃんに胡瓜など差し入れしようかな。