笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

今年の自己満足大会

 順序は逆になりましたが今年もありました。偉い先生達の為の校内大自己満足大会。

 私はどの学生がより努力をしてより良い演奏を目指しているか知っているだけに毎年演奏と全く関係がない結果が出て相応しくない学生が奨学金を得るのを見るに忍びず、出来れば避けたいものの頑張っている学生と一緒に弾けるのは喜びでもあり毎年腹を立てつつもつい一緒に弾いてしまう。


 ソプラノの薔薇(そういう名前)。出番直前に落ち着く為に独白。
「私のベルリンの家の事を考えるわ。庭に大きな木が有ってその木を見ると幸せな気分になるの。今日も客席にその木を探すわ!」
何故?という程地味な曲ばかりを指定された。良く歌ったが後から派手な曲を歌った歌手が賞を占めた。それにしてもいつの間にか出来ていた特別賞の歌曲伴奏賞がもれなく2位入賞者よりも高額の賞金を手にするのはおかしくないか?
 弦楽器部門は何と金曜日の夜に予選が有り翌土曜日の午前中が本選という迷惑なスケジュール。結果が出たのは夜9時過ぎ。ヴィオラのEが直ぐに結果を教えてくれて翌日の昼前に本選で演奏。
 弦楽器は髙弦と低弦に分けて賞を与えるのに管楽器は木管金管一緒くた。何故?審査員には財団の役員(要するに音楽的素養が少ない)も多く含まれ毎回音量の大きい金管楽器が賞をもらう。明らかに不公平。
 ホルンのZ(ハンガリー)は本来担当していないがピアニストのマイケル・ジャクソンが本選の日の都合がつかずS先生直々のお達しだったので引き受けた。ホルンのクラスは先生もまともだし学生達の雰囲気も良い。短い共演期間だったが楽しかった。演奏を終えて直ぐにビールをお礼にくれた。
 フルートはどんなに良く吹いても良い評価がもらえなくなったらしい。今回は本選にフルートの先生がいなかったから尚更。3回目の本選出場となったM(トルコ)は今回も選外。毎回良い演奏をしているのだが。
 逆にクラリネットのG(韓国)は基本に大問題が有るのにハッタリが効くから素人受けする。2位が悔しいらしく、「来年は必ず1位を取る!」と宣言。本人は一生懸命やっているだけだが幸せというか気の毒というか…。
私にとって今年最後の共演者となった美しい若者M(オーボエ・ドイツ)は若いのに幻想性豊かで弾いていて楽しかった。今後に期待です。


 それにしても弦楽器部門は担当のT先生が直ぐに結果を我々ピアニストにまで知らせてくれたのに対し管楽器は数日後に出演者が私に結果を訊いて来る事態。担当教授変えて欲しい。