笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

鈍い男の子

 6月19日、クラリネットのG(韓国)卒業演奏会。

 このG、中々の鈍さで、人の言うことを真摯に受け止めているとは思えない。それどころか真剣に音楽を学ぼうとしているとは思えない。それでもクラリネットの先生達適当で無責任…ぢゃなかった!優しいからテンポめちゃくちゃだろうが音間違ったままだろうが試験の度に最高点をもらうので全く顧みない。
 師匠の無愛想先生が時々気の毒になって来る。入学当初レッスン時間を決める時にあまりにもいつも、
「語学学校が有るので来られません。」
と言うので先生が、
「君はドイツに語学を勉強しに来たのか?それとも音楽か?」
と訊くと何と!
「先ず語学を勉強してそれから音楽を勉強します。」
…こう言われたら返す言葉が有りませんね。
 無愛想先生は毎回先生の為にも楽譜を持って来るように言っているのだがGは毎週毎週忘れ遂に4回目、
無「僕の楽譜は持って来たのか?」
G「あ〜…。」
無「君は僕の言うことを実行しない。そんなんじゃレッスンする訳には行かない。ノブエ、申し訳ないけど僕は帰る。」
 …当然ですよね。先生が部屋を出て行ったらGはやーっと血相を変えてoh godとか言って私にどーしよどーしよと訊いて来たから直ぐ電話で謝りなさい!と言ってやった。


 数週間後レッスンにて、
無「僕の楽譜は持って来たのか?」
G「はいっ!はいっ!当然です。」
無「そう当然ってこともないだろう。」


…私は密かに可笑しくて1人静かに笑いを堪えていたがGにはその可笑しさはちっとも分からなかったであろう。
 私も合わせのた〜んびにテンポが悪いリズムが違う数え間違えた練習を録音して楽譜を見ながら聴きなさいと言うのだが返事だけ立派で録音しているのを見たことがない。もう知らん。
 卒業演奏会でも勿論最高点。10日後の非公開試験の合わせに5分遅れますとメッセージをよこして結局15分遅れてやって来てごめんの1言も言わず朗らかに笑いながら最高点だったと報告。当然のように大学院に受かったから後2年いるのかと思うと憂鬱になる…。