笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

オーボエクラス、また秘書を失う。

 2月8日、オーボエのベテラン学生W(台湾)が大学院の修了演奏を行った。

 7年前に入学して最初の試演会で、
「R先生をご存知ですか?私は彼に副科ピアノを習いました。」
と私に訊いた。Rといえば…トッポジージョ!私と同じ頃にハンブルクで勉強していたヤツだ。彼も立派になって(オヤジ的感慨。彼の方が1つ年上だけど)…。
 ドイツに来たと思ったら直ぐ彼氏が出来て、お陰で最初ッからドイツ語が上手だった。
 でもオーボエは最初の3年あまり劇的な進歩が見られず誉め殺し先生も悩ましげだったが4年目に待ちに待った急激な進歩がやって来て(1年前のことを思うと殆ど)奇跡の大学院合格。この2年更に上達してオーケストラの入団試験でも度々1次審査に通るまでになった。
 それと同時に性格もフレンドリーになりユーモアのセンスも向上。特にオーボエの両教授の忘れっぽさについての会話は楽しかった。3年前に長年秘書を務めたSとFが相次いで卒業した後は昨年卒業した料理長Lと秘書の座を受け継いでいたので両教授のエピソードには事欠かないのである。
 演奏会では室内楽作品を多く取り入れたので私が共演したのはパスクリの『ポリウト幻想曲』だけ。大変な難曲だが相当の努力を傾け合わせも頻繁にしたので落ち着いて本番を迎えた模様。1度しか合わせをしないで何回も数え間違ったのに本人も先生も大満足で最高点をもらう学生とは対極だ。
 他の曲も熟考を重ねて完成品を発表する姿勢は立派だった。彼女は引き続きソリストコースで勉強することを望んでいるらしい。3年前なら及びでないと一蹴されたであろうがここ数年の急成長を考えればもしかすると…。


 そして来独直後から付き合っていた彼氏とは数ヶ月前に別れていたことが判明。誉め殺し先生は、

「彼女にとってはその方が良かったわよ。」

と言ったとさ。

 そして彼女が他の都市で勉強するならば次期秘書には誰が就任すべきであろうか…。