笑う伴奏生活

ハンブルクから愉快な共演者達を御紹介します。

今学期の卒業演奏会達を振り返る。

夏学期終了!明後日からフラフラして来ます。
同僚マイケル・ジャクソン(女性)が健康だった為去年とは比べ物にならない楽さ!卒業演奏会を終えた学生は僅かに7人。内慈愛に満ちたX(フルート・中国・女性)はピアノ付きの曲を一曲しか演奏しなかった。

5月18日:無表情(フルート・韓国)
 口数が少なく、表情も読めないので師匠のドア兄さん(スウェーデン)も5年間心を砕いた様子。ただ、最後の一年は練習後よもやま話をすることが増え、彼女の心が少しずつ柔軟になっているように思った。
 演奏会では相変わらず無表情だった為に確かな事は言えないが多少緊張していたらしい。終わった後僅かに表情が緩んだのが感じられてほっとした。

6月2日:妖精(フルート・中国)
 ラインスベルクの湖畔の古城での合宿から帰って直ぐに大学院の入学試験、翌日がこの卒業試験と体力的にも精神的にもハードな日程になった。曲目も要求水準の高い物ばかりだったので小柄な彼女のスタミナが心配されたが全くの杞憂!大変素晴らしい演奏会だった。スタミナ切れは私の方で尹の歌楽もピエルネのソナタも全然ダメだった・・・。

6月6日:X(フルート・中国)
 サンタ先生に、「今上手くいったのは偶然か?それとも幸運か?」と訊かれて暫し考えた後静かに微笑みながら、「幸運です。」と答えてから二年半、着実な努力を続けて来た彼女。演奏会直前には毎回微笑み乍ら、「私はとても心配です。」と言っていたが、様々な編成による変化に富んだプログラムを多彩に楽しく聴かせた。ルクレールソナタを演奏している内にどんどん響きが澄んでいったように思った。

6月8日:Y(フルート・日本)
 優雅な音楽性が入学当初から光っていたが、コントロール力が付いて鬼に金棒になった。邦人作曲家・吉松隆の名曲「デジタルバード組曲」はドイツのお客様にどう響いただろう?私が終楽章で一度繰り返しを間違えたのが悔しいッ!ゲンツマーのヴィオラ・ハープとのトリオでは正に夢のような高音の響きが印象的だった。

6月15日:Z(オーボエ・中国)
 ・・・こうしてみるとX・Y・Zと続いたのか。それはさておき彼もザールブリュッケンから帰って来て直ぐの演奏会。気候の違いにリードの調整も難しかったよう。おまけに私もオーボエの入学試験が有った為に当日はぶっつけ本番となった。やはり疲れていたようで彼の持ち味が出たとは言い難いが、才能豊かな人だけに今後の精進を期待したい。彼がぼやいていた共演の或る学生は確かにひどかった。

7月4日:ママ(フルート・ドイツ)
 前日夕方に我が友人の訃報。彼の為にも納得の演奏をしたかった。何度も自分を励ましながら弾いた。
 ママ自身は何も心配の要らない人。その通りの安定した演奏に先生達も大満足だった。
 ヘンドリック、何とか弾けたよ・・・。

7月7日:整形ちゃん(フルート・中国)
 演奏会直前にも関らずサッカー欧州選手権準々決勝ドイツ・イタリア戦を最初から最後までぜーんぶ観たという彼女。でっでもあの試合は延長で決着がつかなくてPK戦だって5人で決まらず凄く長ーい試合だった筈・・・と思っていたら準決勝のドイツ・フランス戦が演奏会当日になってしまって、「私、演奏会の延期を本気で考えたの。」と言っていたが素晴らしい集中力で普段以上に積極的な演奏を聴かせた。打ち上げ会場で慌てて携帯電話で中継を観戦したもののドイツ敗戦。
 飲み足りなくてメランコリーとフレンドリーとスキンヘッドと三時まで飲んでしまいました・・・。

 最近猫娘(フルート・台湾)から聞いたところによると、彼女のお母さんが、「ノブエサンは先生でしょ?何故いつも貴方達と一緒に飲んでいるの?」と言っていたそうです。はっはい、学生気分が未だに抜けていません。